ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,300】増税後への慎重な姿勢が示された「日銀短観」(日本)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,300】増税後への慎重な姿勢が示された「日銀短観」(日本)

2014年4月2日

1.日銀短観とは?

 日銀が3カ月ごとに約1万社の企業に行う『全国企業短期経済観測調査』のことです。市場では「大企業・製造業の景況感(業況判断DI)」や「大企業・製造業の3カ月先の景況感(先行きDI)」などが注目されます。2014年3月調査の調査期間は2月24日~3月31日でした。

2.最近の動向

 1日に発表された3月調査分の『日銀短観』において、注目される大企業・製造業の「業況判断DI」は+17(前期比+1ポイント)と、4四半期連続のプラスとなりました。このほか、大企業、中堅企業、中小企業の製造業・非製造業の全て分類において、12月調査よりも改善しました。なかでも中堅企業では製造業が+12(同+6ポイント)、非製造業が+17(同+6ポイント)と改善幅が大きく、中小企業でも大企業を上回る改善幅となりました。先行して景況感が回復していた大企業を追う形で、中堅・中小企業にも景気回復が本格的に波及したと見られます。

3.今後の展開

 3月調査における2013年度の想定為替レート(大企業・製造業)は1米ドル=98円37銭と、12月調査時点の96円78銭と比べ、円安方向に修正されました。為替レートは昨年12月からは101~105円程度のレンジ(3月調査発表日、午前9時時点では103円台前半)で推移しており、円安の進行は一服していますが、想定為替レートは市場実勢よりも円高に見積もられていることから、企業は慎重な姿勢を崩していないと思われます。また、2014年度については99円48銭と、2013年度よりも円安方向の想定です。
 一方、大企業・製造業の3カ月先の景況感を示す「先行きDI」は、+8と最近(業況判断DI)から9ポイントの悪化が見込まれています。このほか全ての分類において9~12ポイントの悪化が見込まれており、なかでも中小企業では製造業・非製造業ともにマイナスに転じる見込みです。また、2014年度の設備投資計画(全産業・全規模)は、前年度比▲4.2%と2013年度の同+5.2%から減少に転じる見込みです。分類ごとでは大企業・中堅企業の製造業では2013年度からの増加が見込まれていますが、その他では減少する見込みで、特に中小企業では二桁の減少が計画されています。
 景気の先行きや設備投資計画からは昨日からの消費税率引き上げに対し、企業の慎重な姿勢が見られます。ただし、大企業・製造業では12月調査の「先行きDI」が+14だったのに対し、3月調査の「業況判断DI」は+17となり、企業は想定より景気は良かったと捉えたようです。今後も消費税増税後を乗り越えて景況感が維持されることが期待されます。

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