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「北海道新幹線」の経済効果(日本)【キーワード】

2016年4月7日

<今日のキーワード>
「北海道新幹線」が3月26日に開業しました。新青森と新函館北斗の間の149キロの区間です。1964年の東海道新幹線の開業から半世紀以上を経て、新幹線が青函トンネルを渡り北海道にお目見えしました。これで北海道から鹿児島まで日本列島を縦断するネットワークが完成しました。2031年の春には、北海道民の待望する札幌までの開業が予定されています。

【ポイント1】函館まで開業、札幌には2031年春の開業を予定

東京駅から最速で4時間2分、運賃の競争力はある

■3月26日に、北海道新幹線が開業しました。運転本数は1日13往復でうち10往復が東京からの直通列車です。所要時間は最速の列車で4時間2分(平均は4時間22分程度)、料金は2万2,690円となっています。ちなみに正規の航空運賃は会社によって異なりますが3万5,000円程度(所要時間は1時間20分程度)ですので、新幹線の価格競争力はあると思われます。

■新幹線はさらに、新函館北斗から札幌までの延伸工事が進められており、2031年春には同区間の営業運転が開始される見通しで、これにより東京から札幌までの全線が開通することになります。

【ポイント2】波及効果は136億円との試算

函館は観光資源の宝庫

■新幹線の経済効果については、日本政策投資銀行が年間136億円の効果が北海道内に寄与するとの試算をしています。観光、ビジネスなどへの直接効果73億円に加え、これらの需要が誘発する波及効果を加えたものです。

■函館地区は自然はもちろん、食や歴史などの観光資源が豊富な地区ですので、新幹線の開通が地域振興の起爆剤になることが期待されます。課題としては、オフシーズンや平日の観光客の誘致にありそうです。またインバウンド需要の取り込みも重要でしょう。

【今後の展開】札幌までの早期延伸が必要

■当面は年間48億円の赤字採算想定
北海道新幹線の採算は、残念ながら赤字となりそうです。JR北海道の試算によれば、平均乗車率26%を前提に、当面の年間の赤字額を48億円と想定しています。函館から札幌まで、在来線の特急では3時間半もかかるため、札幌や道央、道北への旅客を航空機から奪うことは難しいと考えられます。

■東京-札幌は世界でも有数の航空路線
したがって、今後のポイントは札幌までの延伸に尽きると思われます。羽田および成田から新千歳(札幌)への航空便の旅客数は、年間1,000万人を超えて、世界でもトップクラスの路線です。新幹線が開通すれば、東京から札幌までは約5時間程度と推定され、かなりの旅客数の取り込みが可能となりそうです。

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