ホームマーケット日々のマーケットレポート「消費増税」19年10月に延期へ(日本)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

「消費増税」19年10月に延期へ(日本) 【キーワード】

2016年5月30日

<今日のキーワード>
安倍首相は、2017年4月に予定している消費税率10%への引き上げを、2019年10月まで2年半、延期する意向を示しました。これは、低迷する国内景気の回復を優先させることが狙いで、市場は前向きに評価すると見られます。他の政策と合わせて成長性を高める道筋を示すことが出来れば、市場の評価は更に高まる可能性もあります。一方で、増税時期を大幅に延期したことで、財政面では難しいかじ取りになりそうです。

【ポイント1】G7で世界経済が危機に陥るリスクを共有化

成長経路達成に向け3本の矢のアプローチの重要性を再確認

■G7伊勢志摩サミットの首脳宣言(世界経済)では、世界経済の見通しに下方リスクが高まっているとし、「すべての政策対応」を行うとの認識が共有化されました。成長経路の達成に向けて3本の矢のアプローチ(相互補完的な財政、金融及び構造政策)の重要性も再確認しました。

【ポイント2】消費増税は19年10月に

成長を優先する経済運営を選択

■安倍首相は、2017年4月に予定している消費税率の引き上げ(8%⇒10%)を、19年10月まで2年半、延期する意向を示しました。足元の景気は力強さに欠けるため、予定された消費税増税を実施することは景気を失速させるリスクが高いと判断した模様です。

■一方で、今回の延期で財政再建の道のりが厳しくなるとの見方もあります。政府は2020年度に基礎的財政収支*を黒字化することを目標に掲げています。内閣府の試算では17年度に10%へ増税した場合でも、20年度には6.5兆円の赤字となる見通しですが、安倍首相は、成長を優先する経済運営を選択しました。
*国の税収など(歳入)と一般歳出の収支の関係。黒字化すれば借金に頼らないで歳出を賄える。

【今後の展開】再び3本の矢が放たれる可能性高まる

■6月初旬にかけて、経済財政運営の基本方針(骨太の方針)や成長戦略、「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定される予定です。6月の日銀金融政策決定会合では追加緩和が予想され、参議院選挙後は5-10兆円規模の大型補正予算案が提出される見通しです。金融政策、財政政策、成長戦略の3本の矢が再び放たれる可能性が高まっています。消費税増税先送りはその第一歩との位置付けで、日本の成長性を高める内容となり、市場で前向きに評価されると期待されます。

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