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緩やかな利上げを示唆「ベージュブック」(米国) 【キーワード】

2016年6月3日

<今日のキーワード>
「ベージュブック」は、米国の12地区の連邦準備銀行(地区連銀)が管轄地域の経済状況をまとめた「地区連銀経済報告」のことです。表紙のベージュ色が名前の由来であり、経済情勢についての総合判断、主要産業の動向や雇用・物価動向などがまとめられています。「ベージュブック」は、年に8回開催される連邦公開市場委員会(FOMC)の2週間前の水曜日に公表され、金融政策の判断材料として用いられます。

【ポイント1】経済活動は「緩やかなペース」で拡大

前回報告とほぼ同じ評価

■6月1日に公表された最新の「ベージュブック」は、「経済活動は穏やかなペースで拡大を続けている」と総括しました。4月13日に発表された前回報告とほぼ同じ評価です。今回の評価を地区別に見ると、ニューヨーク(NY)地区がほぼ横ばいだったほかは、残り11地区とも程度の差こそあれ拡大を維持しました。

【ポイント2】個人消費、住宅投資は拡大の基調を維持

労働需給は熟練工、非熟練工ともに逼迫

■個人消費については、NYなど北東部の地区で、春先の肌寒い気候の影響から季節物商品が伸び悩んだほかは、総じて緩やかな増加となりました。

■建設・不動産は、商業用、住宅とも、ほとんどの地区で拡大しました。住宅では、特にボストン、サンフランシスコなどの地区での販売増が目立ちました。

■他方、製造業は、アトランタやリッチモンド地区で拡大した反面、NYやフィラデルフィア地区で落ち込むなど、地域や業種によって、まちまちな評価でした。

■労働市場については、需給逼迫、緩やかな賃金上昇が報告されました。高度な知識・技術を有する人材のみならず、非熟練工の不足も指摘されています。

【今後の展開】金融資産に有利な「物価安定の下での景気拡大」という環境が継続

■米国経済は持ち直しへ
2016年1-3月期の米国経済は低成長に止まりましたが、「ベージュブック」などから判断すると、4-6月期は上向いたと見られます。6月14日、15日開催FOMCで利上げが実施される可能性は高いと考えられます。

■利上げは緩やかなペースとなる見込み
米国は利上げ局面に入っていますが、物価の安定を踏まえると、そのペースは緩慢なものとなる見込みです。株式をはじめとする金融資産にとって良好な環境が、しばらく続くと予想されます。

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