市川レポート

REPORT

【No.544】日本株は冷静に押し目を拾う好機か

2018年08月14日

●トルコリラの下落で日本株も下落したが、行き過ぎと判断されれば日本株は程なく上昇に転じよう。
●週末週初の日本株の下げは先物主導の可能性、好決算銘柄は押し目買いの好機と考えられる。
●トルコの動揺は続く見込みだが、日米欧の流動性で金融危機は回避、日経平均に上昇余地あり。

トルコリラの下落で日本株も下落したが、行き過ぎと判断されれば日本株は程なく上昇に転じよう

日経平均株価は8月13日、節目の22,000円を割り込んで取引を終えました。トルコリラの急落を機に、世界の金融市場でリスクオフ(回避)の動きが強まったことが背景にあります。トルコリラの下落が日本株の下落につながったのは、恐らく、「トルコリラの下落→金融市場の動揺→リスクオフの円高→日本株の下落」という思惑から、投資家が現物の買いポジションを整理し、投機筋が先物の売りポジションを構築したためと推測されます。

彼らにとって重要なのは、トルコリラの下落が本当に日本株に影響を与えるのかを検証することではなく、少しでも日本株に下落リスクがあれば、すぐにポジションを調整することです。ただ、いったんポジションを調整した後、それが行き過ぎと判断されれば、再び現物は買い戻され、先物の売りポジションも反対売買で買い戻されるため、日本株は程なく上昇に転じることがあります。

週末週初の日本株の下げは先物主導の可能性、好決算銘柄は押し目買いの好機と考えられる

日本株が大きく下落した8月10日と13日の売買代金をみると、先物が現物を大きく上回っています(図表1)。そのため、先週末からの日本株の下落は、先物主導によるところが大きいと思われます。つまり、先に4-6月期決算発表を終えた3月期決算企業については、好決算企業の株価も、低調だった企業の株価も、一緒に売られている状況にあるため、好決算銘柄は押し目買いの好機と考えることもできます。

なお、参考までに4-6月期決算の集計状況を確認しておきます。3月期決算企業(金融、ジャスダック、マザーズ、上場子会社、決算期変更を除く)のうち、8月13日時点で98.7%が開示を終えており、4-6月期の売上高は前年同期比+7.9%、純利益は同+27.6%と、増収増益の好調な結果となりました。一方、今期の通期予想は、まだ慎重姿勢を維持する企業も多く、売上高が同+3.0%、純利益は同-0.3%と、やや控えめな数字となっています。

トルコの動揺は続く見込みだが、日米欧の流動性で金融危機は回避、日経平均に上昇余地あり

トルコの金融当局は今週に入り、トルコリラのスワップ取引を制限する措置や、民間銀行に対する流動性支援策を発表しました。しかしながら、エルドアン大統領の政治介入で、トルコ中央銀行の独立性が揺らいでいる間は、トルコリラが投資家から信認を得ることは難しいと思われます。また、現時点では、対米関係の早期改善も見込み難く、トルコの金融市場の動揺はしばらく続く可能性があります。

グローバルな視点からみた場合、米連邦準備制度理事会(FRB)、日銀、欧州中央銀行(ECB)の当座預金には、6月末時点で合計約7.4兆ドルの過剰流動性が積み上がっています(図表2)。これは各国・地域の民間銀行が抱える余剰資金ですので、トルコリラの下落が世界的な金融危機に発展するリスクは極めて小さく、日本株投資にも冷静に対処できると考えます。弊社は主要企業の業績について、今期も通期で増収増益の着地を見込んでおり、2019年3月末時点の日経平均株価は23,800円程度の予想を維持しています。