市川レポート

REPORT

【No.560】日経平均株価と23,000円という水準

2018年09月18日

●先週は、海外投機筋などからSQ絡みの先物買いが断続的に入り、現物株を押し上げた可能性。
●また、空売り比率が33営業日連続40%超だったため、踏み上げ発生により23,000円台回復へ。
●これまでのレンジ相場で現物買いが積み上がっていない分、23,000円台の定着は比較的容易に。

先週は、海外投機筋などからSQ絡みの先物買いが断続的に入り、現物株を押し上げた可能性

日経平均株価は9月14日、終値ベースで節目の23,000円台を回復し、約7カ月半ぶりの高値をつけました。日経平均株価にとって23,000円という水準は、5月以降、比較的強い上値抵抗線となっています。そのため、市場では今週、日経平均株価が23,000円台にしっかり定着できるか否かに注目が集まっています。その見極めにあたり、まずは先週の株高の背景について整理します。

先週は9月14日が、株価指数先物・オプションの「特別清算指数(SQ)」の算出日でした。そのため、海外投機筋など短期の投資家が、SQ絡みの先物買いを断続的に入れ、これが現物株を押し上げた可能性があると思われます。実際、9月に入ってからの株式売買代金をみると、特に先週は先物が現物を大きく上回っており(図表1)、日経平均株価の23,000円台回復は、先物主導に起因するものだったと推測されます。

また、空売り比率が33営業日連続40%超だったため、踏み上げ発生により23,000円台回復へ

もう1つ注目しておきたい指標が「空売り比率」です。空売りとは、証券会社などから株を借り、先に売って後で買い戻す取引のことです。空売り比率とは、全体の売り注文のうち、空売りが占める比率のことをいいます。東京証券取引所が金額ベースの売り注文をもとに日次で公表しています。一般に、空売り比率が上昇する場面では、株価の下落を見込んで利益を得ようとする投資家が増えていることを示します。

空売り比率は一般に40%を超えると高水準とされますが、直近では7月30日以降、33営業日連続で40%を超えていました(図表2)。しかしながら、この間、日本株が大きく崩れることはなく、むしろ先週は日経平均株価が23,000円を試す動きとなったため、空売り投資家は損失覚悟の買い戻しに追い込まれた可能性があります。その結果、株価が一段高となる「踏み上げ」が発生し、これが23,000円台の回復につながったと思われます。

これまでのレンジ相場で現物買いが積み上がっていない分、23,000円台の定着は比較的容易に

日経平均株価は、5月以降、レンジ相場を形成していたため、現物の投資家などによる買いは、あまり積み上がっていないと推測されます。今回の23,000円台回復のきっかけは、前述のSQ絡みの先物取引や、空売り投資家の踏み上げとみています。ただ、いったん23,000円台を回復すれば、現物の買いが積み上がっていない分、利益確定の売りも少なく、また、出遅れた向きが買いに動くことも想定され、23,000円台の定着は比較的容易とも考えられます。

今後の焦点は、日本企業の業績予想と米通商政策の行方です。9月14日時点で、日経平均株価の予想1株あたり利益(EPS)は約1,739円です。2カ月ほど前の7月17日時点では、約1,691円でしたので、EPSは改善傾向にあります。米通商政策については、前回、前々回のレポートでお伝えした通り、米国の対日政策はそれほど強硬なものにはならないとみています。以上より、日経平均株価の23,000円台定着は、徐々に難しいものではなくなりつつあると考えます。