市川レポート

REPORT

【No.600】市場が安堵する米中貿易摩擦問題の着地点とは?

2018年11月28日

●米中首脳は12月1日に会談へ、貿易摩擦問題に、何らかの進展があるとの期待が市場に広がる。
●中国が市場開放や知的財産保護で協議の姿勢などを示せば、米国は追加制裁見送りの展開も。
●ただ、中国製造2025の折り合いは困難、現実的に米国が中国の譲歩にどれだけ応えるかが焦点。

米中首脳は12月1日に会談へ、貿易摩擦問題に、何らかの進展があるとの期待が市場に広がる

クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は11月27日の記者会見で、トランプ米大統領と習近平(シー・ジンピン)中国国家主席が12月1日に会談する予定であることを明らかにしました。トランプ大統領は、11月30日と12月1日にアルゼンチンで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に出席し、G20が終了した後の夕食の席で、習主席との会談に臨む見通しです。

市場では、今回の米中首脳会談において、貿易摩擦問題に関して何らかの進展があるのではないかとの期待が広がっています。ただ、クドローNEC委員長は、会談が不調に終われば制裁関税の対象を中国からの全輸入品に広げる用意もあると述べ、強硬姿勢を崩していません。そこで、米中がこの先、どのような合意に至れば市場の安心感につながるのか、以下検討します。

中国が市場開放や知的財産保護で協議の姿勢などを示せば、米国は追加制裁見送りの展開も

まず、中国側が米国に対し、ある程度の譲歩を示す場合を考えます。具体的には、①中国国内の市場開放、②米国製品の購入拡大、が想定されます。短期間での解決が困難とみられる知的財産の保護に関する問題については、③将来的な協議の枠組みを示す、可能性があります。しかしながら、ハイテク産業の育成は譲らず、「中国製造2025」の基本方針は維持するものと思われます。 

次に、米国側の対応を考えます。米国は現在、中国からの輸入品2,000億ドル分に追加課税する制裁関税を第3弾まで発動しており、上乗せ関税は来年以降10%から25%に引き上げられます。また、さらに2,670億ドル分に追加課税する第4弾の発動も検討されています(図表1)。米国が中国の譲歩を一定程度評価すれば、④第3弾の上乗せ関税引き上げの見送り、⑤第4弾の発動見送り、を提示することが見込まれます。

ただ、中国製造2025の折り合いは困難、現実的に米国が中国の譲歩にどれだけ応えるかが焦点

米中が①~⑤で合意するようであれば、市場に安堵が広がる公算は大きいと思われますが、12月1日の会談でここまでの合意に至るかどうかは不確実です。なお、トランプ大統領は11月16日、中国が142項目の行動計画を米国に提出したことを明らかにし、非常に完成度は高いとしながらも、重要な4、5項目が解決されておらず、まだ受け入れられないと述べています。

おそらく、142項目は①~③に関係し、未解決の4、5項目は中国製造2025に関係するものと推測されます。ただ、米中とも中国製造2025で簡単に折り合いが付くとは考えておらず、その一方で、国内景気への影響を勘案し(図表2)、そろそろ現実的な落ち着きどころを探りたいというのが本音ではないかとみています。したがって、今回の会談では、どの程度①~⑤に近い合意が示されるかに注目したいと思います。