市川レポート

REPORT

【No.621】2019年の日本経済見通し

2019年01月21日

●消費増税の影響は経済対策で相殺され2019年度は潜在成長率並みの0.8%程度の成長に。
●日銀は当面現行の政策の枠組みを維持し、想定外の景気減速でもマイナス金利深掘りは回避。
●政治では、安倍政権の継続、景気配慮の財政政策運営、参院選で与党が過半数確保を予想。

消費増税の影響は経済対策で相殺され2019年度は潜在成長率並みの0.8%程度の成長に

弊社では、日本の実質GDP成長率について、2018年度は前年度比+0.7%、2019年度は同+0.8%、2020年度は同+0.6%を予想しています(図表1)。2018年度と2019年度は、従来の見通し(それぞれ前年度比+0.8%、同+0.9%)を若干下方修正しました。これは、2019年前半に、米国など海外主要国の成長ペースが幾分鈍化する可能性が高まったことを受けての調整です。

なお、2019年10月の消費増税で国民の実質負担は約2兆円に達する見込みですが、約2.3兆円の経済対策などにより増税の影響が相殺されることで、2019年度は潜在成長率(弊社推計で年率+0.7%~+0.8%程度)並みの成長ペースが維持されると考えます。ただ、2020年度は経済対策の効果が剥落し、オリンピック関連投資も一巡することから、成長ペースは潜在成長率をやや下回ることが予想されます。

日銀は当面現行の政策の枠組みを維持し、想定外の景気減速でもマイナス金利深掘りは回避

日銀の金融政策については、少なくとも2019年度は現行の金融政策の枠組みを維持し、長短金利の操作目標水準に変更はないと考えます。ETFの買い入れは、減額を意識しつつも株価急落時などは即買い入れる柔軟なスタンスを継続するとみています。ただ、図表2の通り、弊社では消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の伸びの鈍化を見込んでおり、市場ではこの先、日銀に追加緩和を求める声が高まることも想定されます。

仮に日本経済の成長ペースが弊社の予想を大きく下回り、需要と潜在的な供給の差を示す「需給ギャップ」が大幅に悪化した場合、政府は消費増税の先送りを決め、追加的な経済対策を打ち出すと思われます。日銀はあくまで現行の政策の範囲内で、長期金利のマイナス方向への変動を許容し、ETFの柔軟な買い入れを行うとみており、安易にマイナス金利を深掘りすることは避けると考えます。

 

政治では、安倍政権の継続、景気配慮の財政政策運営、参院選で与党が過半数確保を予想

政治動向については、安倍政権が継続し、景気に配慮した財政政策が運営されるというのがメインシナリオです。消費増税は、2019年10月に予定通り実施される見込みですが、国内外の景気減速が想定以上のものとなれば、先送りされる可能性は残ります。ただ、その場合、前述の通り、政府が追加的な経済対策を打ち出し、日銀は緩和的な金融政策を維持するとみられ、景気後退には至らないと予想します。

なお、夏の参院選は、7月4日に公示、7月21日に投開票となる見通しです。菅官房長官は1月4日、勝敗ラインについて与党で過半数を取ることと述べました。今回の参院選で自民、公明両党は、非改選議席を合わせて過半数を確保する公算は大きいと思われますが、自民党単独で過半数の維持は困難とみられます。そのため、安倍首相の求心力が相対的にやや低下することも考えられます。