【No.627】19年1月FOMCプレビュー

2019年1月29日

●政策金利の据え置きは織り込み済みで、注目はパウエル議長のバランスシート政策に関する発言。
●市場では議長のバランスシート政策に関する発言が二転三転しており真意がつかみにくいとの声も。
●バランスシート縮小に関する観測記事もみられるが、今会合で公式発表があるとの見方は少ない。

政策金利の据え置きは織り込み済みで、注目はパウエル議長のバランスシート政策に関する発言

米連邦準備制度理事会(FRB)は、1月29日、30日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催します。今回のFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は、年2.25%~2.50%に据え置きとなる見通しです。年明け以降、FRB高官からハト派的な発言が相次いだため、利上げは当面見送られるとの見方が優勢となっており、FF金利先物市場が織り込む2019年の利上げ回数は、直近でほぼゼロ回となっています(図表1)。

なお、FRBは従来、3月、6月、9月、12月のFOMCで、議長の記者会見を開き、FOMCメンバーが適切と考える政策金利水準の分布図(ドットチャート)とFOMCメンバーによる経済見通しを公表してきました。このうち、議長の記者会見は2019年から毎会合、開かれることになります。今回のFOMCで、市場が最も注目しているのは、記者会見におけるパウエル議長のバランスシート政策に関する発言です。

市場では議長のバランスシート政策に関する発言が二転三転しており真意がつかみにくいとの声も

FRBは2017年6月にバランスシート縮小に関する基本方針を公表し、同年10月から縮小を開始しています。基本方針に基づけば、約4.5兆ドルのバランスシート(当時)が3年程度で3兆ドルを割り込む計算になります(図表2)が、最終的な規模は明示されていません。このバランスシート政策について、パウエル議長が2018年12月19日、「変更するつもりはない」と述べると、米国株は大きく下落しました。

その後、パウエル議長は2019年1月4日の講演で、問題が発生すればバランスシート政策の修正をためらわないと述べ、株式市場の動揺に一定の配慮を示しました。しかしながら、1月10日の講演では、保有資産はかなり小さくなると述べ、現行のバランスシート政策を継続する姿勢を示したことから、市場ではパウエル議長の真意がつかみにくいとの声も聞かれます。

バランスシート縮小に関する観測記事もみられるが、今会合で公式発表があるとの見方は少ない

こうしたなか、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは1月25日、FRBがバランスシート縮小の早期終了を議論していると報じ、市場の関心を集めました。記事では、バランスシート政策について、パウエル議長などが現在の状況を説明する可能性があるという当局者の見解が紹介されたほか、議論の進展次第で今後の工程表が示されることについても触れられていました。

ただし、今回の記者会見で、パウエル議長がバランスシート政策に関する公式発表を行うとみる市場参加者は少ないように思われます。そのため、記者会見の内容が市場の想定内であれば、今回のFOMCは無風通過が予想されます。一方、バランスシート縮小の終了時期や最終的なバランスシート規模が発表され、かつ、終了時期が当初想定より早く、規模も当初想定を上回る水準となれば、市場にとってポジティブ・サプライズとなりますが、その公算は小さいとみています。