市川レポート

REPORT

【No.631】日本株が明確な上昇基調を回復するためには?

2019年02月04日

●市場は英国のEU離脱期限延期などを織り込みつつあり、かなりハト派的となったFOMCも好材料。
●米中閣僚級貿易協議の結果は想定内、日米の企業決算も悪材料はおおむね株価に反映済み。
●日本株はイベントを無難に消化中だが上昇基調回復のカギを握るのはやはり海外投資家の動向。

市場は英国のEU離脱期限延期などを織り込みつつあり、かなりハト派的となったFOMCも好材料

先週、国内外の重要イベントが終了しました。英国の欧州連合(EU)離脱について、メイ首相はEUとアイルランド国境問題で交渉を行いますが、2月13日までに合意できない場合、離脱の方向性に関し再び採決が行われます。再採決では、3月末の離脱期限の延期や、移行期間の延期などの案が可決される可能性があり、市場もある程度、その流れを織り込みつつあると思われます。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は想定以上にハト派的な内容となりました。今回の結果を踏まえ、弊社では米政策金利の年内据え置きとバランスシート縮小の年内停止を予想しています。FOMCのハト派的な政策スタンスにより、少なくとも利上げ継続で米国経済が冷え込んでしまうのではないかという市場の懸念は払拭され、とりわけ株式市場にとっては心強い材料です。

米中閣僚級貿易協議の結果は想定内、日米の企業決算も悪材料はおおむね株価に反映済み

米中閣僚級の貿易協議では、中国が米国産品の輸入拡大を表明しましたが、これはすでに想定済みの内容です。ホワイトハウスの声明では、技術移転の強制など7項目について、進展があったものの、多くの課題が残っているという状況が示されました。ただ、市場では今回の協議で構造問題について何らかの合意が得られるとみていた向きは少なく、協議の継続も想定の範囲内だったと考えます。

米国企業の決算発表では、アマゾン・ドット・コムの2019年1-3月の売上高見通しが市場予想に届かず、決算発表後に株価が下落したものの、アップルとフェイスブックの株価は決算発表後に大きく上昇しました。日本では、半導体関連、電子部品、工場自動化(FA)・工作機械などの主要企業の決算において、中国の景気減速やアップル・ショックの影響がみられました。しかしながら、おおむね事前に予想されていたため、ネガティブ・サプライズとはならず、市場全体が大きく失望することはありませんでした。

 

日本株はイベントを無難に消化中だが上昇基調回復のカギを握るのはやはり海外投資家の動向

先週1週間で、ダウ工業30種平均は1.32%上昇しました。これに対し、日経平均株価は0.07%の上昇にとどまり、ダウ工業株30種平均に比べ出遅れが目立ちました。これは、ハト派的なFOMCを受けて米長期金利が低下し、ドルが対主要通貨で下落した結果、ドル円が1月31日に一時108円50銭付近までドル安・円高に振れたことも影響したと推測されます。

ただ、日経平均株価は足元で国内外の重要イベントを無難に消化し、下値を固めつつあるように思われます。この先、日本株が明確に上昇基調を回復するためには、昨年日本株の現物を約5.7兆円、先物を約7.5兆円売り越した海外投資家が、日本株を買い戻すためのストーリーを描ける状況が必要です(図表1、図表2)。具体的には、英国のEU離脱問題および米中貿易摩擦問題の進展や、米中経済指標の持ち直しなどにより、世界景気に対する悲観的な見方が修正される状況です。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。