市川レポート

REPORT

【No.636】米中貿易協議の進展期待+先物買い戻し=日経平均21,000円台

2019年02月14日

●先週の日経平均は、企業決算がピークを迎えるなか、「あく抜け」に至らず、週末にいったん調整へ。
●ただ今週は米中貿易協議の進展期待と米政府機関の閉鎖回避期待から21,000円台を回復。
●期待に基づく先物主導の株高に持続性の疑問は残るが日本株は徐々に下値を固めていくと予想。

先週の日経平均は、企業決算がピークを迎えるなか、「あく抜け」に至らず、週末にいったん調整へ

先週の日経平均株価は、3月期決算企業の2018年4-12月期決算発表がピークを迎えるなか、節目の21,000円を試す展開となりました。企業決算では、中国景気の減速やスマートフォン(スマホ)需要の減退などの影響がみられましたが、おおむね想定の範囲内でした。そのため、いわゆる「ネガティブ・ショック」は発生しなかったものの、決算内容は日経平均株価を21,000円台に押し上げるほどのものではありませんでした。

結局、日経平均株価は2月8日に比較的大きな調整が入り、前日比418円11銭安の20,315円31銭で取引を終えました。企業決算を経ても、悪材料出尽くしで株高に転じる「あく抜け」には至らなかったことが確認され、早々に見切り売りが出たものと思われます。なお、日本経済新聞社が集計している3月期決算企業の純利益予想は、2018年度通期で1.6%の減益(2月13日時点)となっており、業績面では日本株を買い進めにくい状況です。

ただ今週は米中貿易協議の進展期待と米政府機関の閉鎖回避期待から21,000円台を回復

しかしながら、今週は週初から市場に楽観的な雰囲気が急速に広がりました。背景には、①2月14日、15日に開催される閣僚級の米中貿易協議の進展「期待」、②米政府機関の一部再閉鎖の回避「期待」があるとみられます。①に関し、トランプ米大統領は2月12日、米中貿易協議の3月1日の期限について、「真の合意に近づけば、若干の延長の可能性はある」と述べました。

また、②に関し、米与野党の議会指導部は2月11日、新たな予算案で基本合意しました。現行予算期限の2月15日までに上下院が新予算を可決し、トランプ米大統領が署名すれば、米政府機関の一部再閉鎖は回避されます。ただ、①と②は、いずれも期待に過ぎません。それでも日経平均株価は2月12日、13日と先物主導で上昇し、2月13日には一気に21,000円台を回復しました(図表1)。

 

期待に基づく先物主導の株高に持続性の疑問は残るが日本株は徐々に下値を固めていくと予想

海外投資家は昨年、日本株の先物を約7.5兆円売り越しています(日経225先物、日経225mini、TOPIX先物、ミニTOPIX先物、JPX日経400先物の合計額)。そのため、今回の先物の上昇は、売りポジションの調整、すなわち買い戻しによるものと推測されます。期待が浮上したタイミングは唐突でしたが、期待だけで先物を買い戻すことには、相応の合理性があります(図表2)。

なお、弊社では米中貿易摩擦問題について、知的財産権の保護など構造問題の協議が3月1日以降も継続し、関税は脅しの手段としての役割を終えるとみています。また、世界経済の成長ペースは全体では大きく鈍化しないというのがメインシナリオです。この見方に基づけば、足元でみられるような期待に基づく先物主導の株高は、持続性に疑問が残りますが、やや長い目でみれば、日本株は徐々に下値を固め、慎重ながらも上値を試す展開を引き続き予想しています。