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参院選の注目ポイントと予想される市場の反応

2019年7月16日

●今回の参院選では、選挙区選挙74議席、比例代表選挙50議席の合計124議席の争いとなる。
●注目の議席数は53、63、86、世論調査では与党が改選過半数をおさえる63議席獲得の勢い。
●改選53議席獲得は織り込み済み、過半数63議席でも現行政策維持で株高・円安は限定的か。

今回の参院選では、選挙区選挙74議席、比例代表選挙50議席の合計124議席の争いとなる

第25回参議院議員選挙(参院選)は、7月21日に投開票が行われます。従来、参議院の定数は242議席でしたが、2018年に公職選挙法が改正され、2019年7月29日から2022年7月25日までの間は245議席、2022年7月26日以降は248議席となります。参議院には解散がなく、議員の任期は6年ですが、3年毎に定数の半分を入れ替える選挙が実施されます。

参院選は、「選挙区選挙」と「比例代表選挙」により行われます。選挙区選挙は、原則、都道府県を単位とする一方、比例代表選挙は、全国を1つの単位とします(図表1)。今回の改選定数は、選挙区選挙が74議席、比例代表選挙が50議席で、合計124議席の争いとなります。また、比例代表選挙では、今回から政党が指定する候補を優先的に当選させる「特定枠」も導入されます。

注目の議席数は53、63、86、世論調査では与党が改選過半数をおさえる63議席獲得の勢い

参院選で注目される議席数は、「53」、「63」、「86」です(図表2)。53は、与党である自民党と公明党が、参議院で過半数(123議席)に達するための議席数です。自公両党の非改選議席は70議席ですので、今回の参院選では53議席を取ればよいことになります。安倍首相はこれを勝敗ラインに設定しています。63は、与党が今回改選となる124議席の過半数をおさえる議席数で、自民党の二階幹事長らが勝敗ラインとして掲げています。

86は、与党を含む改憲勢力が、参議院で改憲発議に必要な3分の2(164議席)に達するための議席数です。自公両党に、日本維新の会などを加えた改憲勢力の非改選議席は78議席ですので、今回の参院選では86議席が必要になります。なお、複数の国内大手メディアによる世論調査によれば、与党が今回改選となる124議席の過半数をおさえる63議席を獲得する勢いをみせている模様です。

改選53議席獲得は織り込み済み、過半数63議席でも現行政策維持で株高・円安は限定的か

安倍首相が勝敗ラインに設定した、与党が参議院で過半数に達するための改選53議席の獲得は、低めの勝敗ラインとの見方が多く、市場でもほぼ織り込み済みと思われます。仮に与党が改選過半数の63議席確保ということになれば、政権安定の観点から市場がいったん好感することも想定されます。ただし、現行の金融政策・財政政策の枠組みは維持される見通しのため、日本株の上昇や円安の進行は限定的と考えます。

一方、市場の警戒感が高まる恐れがあるのは、与党が改選53議席を獲得できなかった場合と、与党などの改憲勢力が改選86議席以上を獲得した場合です。前者については、安倍政権の求心力低下や、政局の不透明感増長につながりますが、世論調査をみる限り、53議席未達の可能性は低いように思われます。後者については、安倍首相が進める改憲プロセスを見極めることになるため、直後の警戒度合いは、それほど大きくないとみています。