市川レポート

REPORT

半導体関連銘柄が上昇~その背景と今後を考える

2019年07月25日

●足元では半導体銘柄が上昇、オランダのASMLや台湾のTSMCによる強気の業績見通しを好感。
●米半導体大手の投資判断引き上げや米国のファーウェイへの輸出許可に前向きな姿勢も好材料。
●半導体銘柄の下値リスクは後退、ただ日本株の上昇はやや期待先行で予想利益の改善が必要。

足元では半導体銘柄が上昇、オランダのASMLや台湾のTSMCによる強気の業績見通しを好感

世界の株式市場では、先週から半導体関連銘柄の株価が上昇する動きが目立っています(図表1)。これは、次の3点が材料視されたことによるものと推測されます。すなわち、①オランダや台湾の半導体関連大手が、先行きの業績に強気の見方を示したこと、②米国の半導体関連大手数社の投資判断が引き上げられたこと、③トランプ米大統領が中国の華為技術(ファーウェイ)に対する輸出許可に前向きな姿勢を示したこと、の3点です。

①について、オランダの半導体露光装置世界最大手、ASMLは7月17日の決算発表で、次世代極端紫外線(EUV)露光装置(同社は世界唯一のメーカー)の先行きに強気の見方を示しました。また、台湾の半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は7月18日の決算発表で、最悪期は4-6月期で脱し、7-9月期は売上高が最大で約1割増え、営業増益に転じると述べました。

米半導体大手の投資判断引き上げや米国のファーウェイへの輸出許可に前向きな姿勢も好材料

②について、米金融大手ゴールドマン・サックスは7月21日付のレポートで、米マイクロン・テクノロジー(メモリーを主力とする半導体製造大手)、米ラムリサーチ(半導体エッチング装置世界最大手)、米アプライド・マテリアルズ(半導体製造プロセスをほぼ全てカバーする半導体製造装置世界最大手)を、いずれも従来の「中立」から「買い」に投資判断を引き上げました。また、予想よりも速いペースで半導体の過剰在庫が解消する可能性も指摘しました。

③について、グーグルなど米企業7社の経営トップは7月22日、トランプ米大統領と面会しました。米政権は、中国の通信機器最大手、ファーウェイに対し、事実上の禁輸措置を発動していますが、各社ともその方針には支持を表明しています。ただ、米商務省が個別に出すファーウェイへの輸出許可について、適切な時期に決断するよう各社から要請があり、トランプ米大統領はこれに同意しました。

半導体銘柄の下値リスクは後退、ただ日本株の上昇はやや期待先行で予想利益の改善が必要

①から③の材料を受け、株式市場では半導体市況の回復期待が高まりました。半導体市況の回復は日本の半導体製造装置メーカーにとって強い追い風になるため、株価は素直に反応しています(図表1)。なお、信越化学工業(半導体シリコンウェハー世界最大手)とアドバンテスト(半導体検査装置メモリーテスター世界最大手)の株価は、7月24日の取引終了後に発表された決算内容が好感され、翌25日に一段高となりました。

米中貿易摩擦問題には依然警戒が必要ですが、半導体市況に回復の兆しが見え始めたことで、半導体関連銘柄の下値リスクは後退しつつあり、これは世界景気に敏感な日本株にも心強い流れです。ただ、日経平均株価は、7月18日から24日まで663円ほど上昇しましたが、ほぼ株価収益率(PER)の切り上がりによるもので(図表2)、期待先行の株高ともいえます。株高の持続には、予想1株あたり利益(EPS)の上昇が必要であり、改めて今後の国内企業の決算内容が注目されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。