市川レポート

REPORT

米大統領選挙と株式市場の関係

2019年11月12日

●4年の任期中に米株が上昇する確率は、共和党大統領より民主党大統領の方がやや高い傾向。
●選挙前年は株高となりやすく、また政党が変わると選挙の年と翌年で株価の騰落は逆転しやすい。
●選挙と株価の関係はアノマリーによるところが大きいが中にはある程度理由が考えられるものもある。

4年の任期中に米株が上昇する確率は、共和党大統領より民主党大統領の方がやや高い傾向

今回のレポートでは、米大統領選挙と株式市場にはどのような関係があるのか、過去のデータを用いて検証を行います。具体的には、①米大統領の任期4年間の株価騰落率、②米大統領の任期4年間における各年(1年目は大統領選挙の翌年、2年目は中間選挙、3年目は大統領選挙の前年、4年目は大統領選挙の年)の株価騰落率、それぞれについて計算します。

期間はマッキンリー大統領Ⅰ期からオバマ大統領Ⅱ期までとし、ダウ工業株30種平均で計算したところ、図表1の結果となりました。①の任期4年間の騰落率をみると、全30回のうち、上昇は22回(共和党11回、民主党11回)、下落は8回(共和党5回、民主党3回)でした。ここから、4年の任期中に株価が上昇する確率は、民主党大統領が78.6%と、共和党大統領の68.8%よりもやや高い傾向にあることが分かります。

選挙前年は株高となりやすく、また政党が変わると選挙の年と翌年で株価の騰落は逆転しやすい

次に、②の任期4年間における各年の株価動向を確認します。図表1をみる限り、任期3年目、すなわち大統領選挙の前年は、株価が上昇しやすい傾向がうかがえます。マッキンリー大統領Ⅰ期からオバマ大統領Ⅰ期までの全30回のうち、任期3年目に株価が上昇したのは24回で、その確率は80.0%に達します。なお、トランプ米大統領は今年が任期3年目ですが、昨年末から11月11日まで、今のところ18.7%上昇しています。

また、大統領選挙で政党が変わると、選挙の年と翌年で株価の騰落が逆転する、つまり、元大統領の4年目が上昇(下落)なら新大統領の1年目は下落(上昇)、というケースが多くみられます。マッキンリー大統領Ⅰ期からオバマ大統領Ⅰ期までの全30回で、政党が変わったのは11回ありますが、このうち株価の騰落が逆転したのは9回で、確率は81.8%になります。

選挙と株価の関係はアノマリーによるところが大きいが中にはある程度理由が考えられるものもある

ここまで確認してきた傾向は、論理的に説明のつかない変則性(アノマリー)によるところが大きいと思われますが、任期3年目に株価が上昇しやすいのは、翌年の選挙戦に向けた景気対策などを織り込むためとも考えられます。また、政党が変わると株価の騰落が逆転しやすいのは、下落(上昇)局面にある株価が、政策方針変更への期待(警戒)を織り込むためとも考えられます。

なお、参考までに日経平均株価で検証してみると、①の任期4年間の騰落率は、アイゼンハワーⅠ期からオバマ大統領Ⅱ期まで全16回のうち、上昇は10回(共和党5回、民主党5回)、下落は6回(共和党4回、民主党2回)となり、民主党大統領の4年間で株高となる確率は71.4%と、共和党の55.6%を上回ります。その他、大統領就任2年目は他の年よりも相対的に株価が下がりやすい傾向がみられましたが、政党が変わると株価の騰落が逆転しやすいという傾向は確認できませんでした。