市川レポート

REPORT

2020年の日本経済見通し

2019年12月20日

●実質GDPは19年度が前年度比+0.9%、20年度は同+0.6%、21年度は同+0.8%を予想。
●2020年は現行の金融政策が維持され、10年国債利回りはおおむねマイナス圏での推移が継続。
●安倍政権は景気配慮の財政政策継続、2020年後半はポスト安倍を巡る政治的な動きに注意。

実質GDPは19年度が前年度比+0.9%、20年度は同+0.6%、21年度は同+0.8%を予想

足元の日本経済は、米中貿易摩擦問題などによる外部環境の悪化と自然災害の影響で、輸出や生産が低迷しています。一方、人手不足を背景に、雇用と所得環境は底堅さを維持しています。先行きについては、輸出の回復が遅れるなか、消費増税後の内需の落ち込みが重なり、成長ペースの鈍化がしばらく続くと思われます。そのため、実質GDP成長率は2019年度が前年度比+0.9%、2020年度は同+0.6%への減速を予想しています(図表1)。

なお、消費増税の個人消費への影響は、軽減税率の導入などもあり、過去の増税時よりも小さいとみています。輸出も減少基調の定着は想定していません。また、12月5日に閣議決定された「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」の政策効果は、2020年4-6月期以降に顕在化し、複数年度にわたって成長ペースを押し上げる見通しです。これらを踏まえると、2021年度の実質GDP成長率は、前年度比+0.8%に持ち直すと考えられます。

2020年は現行の金融政策が維持され、10年国債利回りはおおむねマイナス圏での推移が継続

2020年の金融政策は、現行の枠組みが維持される公算が大きいとみています。日銀は、物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれるおそれが高まる場合、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じるとしています。弊社は、米中貿易協議が段階的に進展し、製造業の景況感は底入れすると考えており、いわゆる「モメンタムが損なわれるおそれ」は高まらず、長短金利の操作目標水準を変更する必要性は次第に低下すると見込んでいます。

日本の10年国債利回りは、2019年9月以降、米中協議の進展期待から徐々に水準を切り上げ、12月に両国が第1段階の合意に達したことで、足元ではプラス圏に浮上しています。これは、米中対立への過度な悲観論が後退し、利回りが日銀の操作目標水準であるゼロ%程度に回帰したものと考えます。世界的に、まだ景気には力強さはなく、10年国債利回りは、2020年を通じて、おおむねマイナス圏での推移が続くと予想しています(図表2)。

安倍政権は景気配慮の財政政策継続、2020年後半はポスト安倍を巡る政治的な動きに注意

政治動向に関するメインシナリオは、安倍政権が継続し、景気に配慮した財政政策の運営が継続されるというものです。2019年の大きなイベントであった7月の参議院選挙は、大方の予想通り、与党で過半数を確保し、波乱なく終了しました。また、10月の消費増税も予定通り実施されましたが、その後、安倍政権が打ち出した前述の総合経済対策は、長期的に景気を支える内容となり、増税の影響は徐々に軽減されると思われます。

リスクシナリオは、国民の支持率が低下し、安倍政権が不安定化することです。例えば、強引な憲法改正の推進がそのきっかけになる恐れがあります。ただ、安倍首相は憲法改正に強い決意を示しているものの、国民投票法改正案の採決は見送られるなど、憲法改正に向けた動きは停滞しています。なお、安倍首相の任期は2021年9月ですので、2020年後半には、ポスト安倍を巡る政治的な動きが強まることも想定され、注意が必要です。