市川レポート

REPORT

日本株の注目業種と銘柄のパフォーマンス検証

2020年05月18日

●ANA、JR東海、三越伊勢丹など接触や対面の機会が多い企業の株価は低調な動きがみられる。
●テレワークの普及やネット通販増加との見方で、ブイキューブやZホールディングスなどの株価が堅調。
●5G関連や、ワクチン開発関連銘柄も好調、新時代で改めて企業情報の丁寧な読み込みが必要。

ANA、JR東海、三越伊勢丹など接触や対面の機会が多い企業の株価は低調な動きがみられる

5月14日付レポート「ウィズコロナ時代の日本株投資戦略」では、新型コロナウイルスと数年にわたって共存する「ウィズコロナ」時代を想定し、その場合に予想される社会変化とその影響について、主な業種別に考えました。今回は、それらの業種に属する主要銘柄に関し、直近のパフォーマンスを検証し、社会変化の影響を先取りする兆しがみられるか、確認します。

対象銘柄は日経平均株価の構成銘柄を中心に、日経平均株価が年初来安値をつけた3月19日から5月15日までの期間における騰落率を図表1にまとめました。ウィズコロナ時代では、行動制限が一定程度残る可能性があり、非接触や非対面という概念が一般的になることが予想されます。足元では、ANAホールディングス、JR東海、三越伊勢丹ホールディングスなど、接触や対面の機会が多い企業の株価は低迷しているように見受けられます。

テレワークの普及やネット通販増加との見方で、ブイキューブやZホールディングスなどの株価が堅調

仮に、ウィズコロナ時代の経済環境が、一段の低成長、低インフレ、低金利となれば、景気敏感な業種や銘柄には強い向かい風となります。そのため、トヨタ自動車や本田技研工業、3メガバンクの株価は現時点で、上値の重い印象です。また、素材・エネルギー関連では、日本製鉄(鉄鋼)、住友電気工業(非鉄金属)、出光興産(石油元売り)などの株価は、相対的に出遅れが目立ちます。 

一方、社会のデジタル化が進めば、テレワーク、遠隔診療、遠隔授業が普及することが考えられます。すでにウェブ会議システムを手掛けるブイキューブや、テレワーク向けクラウドサービスを提供するTISの株価は大きく上昇しています。また、すでにインターネット通販での食品・日用品などの購入は広がっており、ヤフーを傘下に持つZホールディングスや、楽天の株価も堅調です。

5G関連や、ワクチン開発関連銘柄も好調、新時代で改めて企業情報の丁寧な読み込みが必要

非接触や非対面が主流となるデジタル化社会では、次世代移動通信技術「5G」の活用が欠かせません。実際、5G用無線機の生産をになうNECや、半導体製造装置メーカーでは東京エレクトロンやアドバンテストなど、また、電子部品メーカーでは、村田製作所や日本電産などの株価は、すでに大きく上昇しています。なお、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の開発に取り組む、武田薬品工業なども選好されているように思われます。 

このように、一部銘柄には、ウィズコロナ時代の社会変化を先取りする動きが確認できます。ただ、今、出遅れている銘柄でも、非接触や非対面に対応した新しいビジネスモデルを構築できれば、巻き返しの機会は十分にあると考えられます。また、ウィズコロナ時代では、競争激化により、業界再編の加速も予想されます。そのため、銘柄選定にあたっては、これまで以上に、個々の企業から発信される情報を丁寧に読み込んで行く必要があります。 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。