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アジア新興国の経常収支(アジア)【キーワード】

2014年10月31日

<今日のキーワード>
経常収支は、外国との資金のやりとりを表す指標の一つです。モノの輸出と輸入の差額による貿易収支や旅行者の支払いなどのサービス収支などから構成されます。経常収支の黒字は、受け取り超過の状況にあり、受け取った外貨は、自国通貨に交換される(自国通貨買い)ことにより、自国通貨高要因となります。アジアでは活発な輸出を通じて経常収支の黒字国が多く見られます。

【ポイント1】アジア新興国の経常収支は黒字で推移

経済は輸出を通じて米国や中国経済の影響を受けやすい
■アジア新興国は、1997年以降、輸出の拡大を主な要因として経常収支が黒字で推移しています。アジア新興国からの安価な工業製品は、米国で多く輸入されていることからアジア新興国経済は米国経済の影響を比較的大きく受けます。また、近年は中国の消費市場が拡大していることから、中国経済の影響も受けやすくなっています。

【ポイント2】アジア新興国の経常収支の黒字は拡大へ

貿易黒字は外需回復と原油安により拡大傾向
■米国経済の回復などから、アジア新興国の輸出は回復傾向にあります。一方、原油安などから輸入額は足元で抑制傾向にあります。貿易黒字の拡大により、アジア新興国の経常収支の黒字は全体として拡大傾向です。一方、アジア全体の経常収支は黒字であるものの、インドネシアやインドなど一部の国の経常収支は赤字で推移しています。インドネシアでは資源価格が低迷していることから資源輸出の停滞が、インドでは輸入額が輸出額を構造的に上回ることなどがその主な要因です。

■経常収支の黒字局面では、受け取った外貨が自国通貨に交換される(自国通貨買い)ことにより、自国通貨高要因となります。また、経常収支の黒字拡大、赤字縮小局面では、海外から国内金融市場へ資金流入が強まる傾向が見られ、このことも自国通貨が高くなる要因です。

【今後の展開】経常収支の黒字に支えられアジア新興国通貨は底堅く推移

■外需回復により経常収支は黒字拡大の傾向
外需回復による輸出拡大や足元での原油価格の低下は輸入額の抑制要因となることから、アジア全体の経常収支は当面黒字が拡大する見込みです。

■アジア新興国通貨は底堅く推移
アジア新興国通貨は、経常収支の黒字を背景とし全般に底堅い推移が見込まれます。インドやインドネシアでも、燃料補助金の削減による燃料輸入の減少などを通じ経常収支の赤字縮小が期待されることから、両国通貨も底堅く推移しそうです。

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