ホームマーケット日々のマーケットレポートトルコの金融政策「3つの政策金利」/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

トルコの金融政策「3つの政策金利」 【キーワード】

2016年5月26日

<今日のキーワード>
トルコ中央銀行(以下、中銀)は、主要政策金利の1週間物レポ金利を挟み、翌日物貸出金利(上限金利に相当)、翌日物借入金利(下限金利に相当)という「3つの政策金利」によるコリドー(金利レンジ)を形成して、市場金利を誘導するやや複雑な金融政策を採用しています。将来的には、 「金融政策の簡素化」を進め、金利の一本化を目指していると見られます。

【ポイント1】上限金利を0.50%引き下げ

主要な政策金利と下限金利は据え置き

■中銀は24日の金融政策決定会合で、金利誘導レンジ上限の翌日物貸出金利を0.50%引き下げ、9.50%とすることを発表しました。足元で景気が安定的に推移している状況下、金利コリドー幅を縮小することで、金融政策の簡素化を進めたとしています。3カ月連続の翌日物貸出金利引き下げとなりました。

■一方、主要な政策金利である1週間物レポ金利は7.50%に、金利誘導レンジ下限の翌日物借入金利は7.25%に、それぞれ据え置きました。

【ポイント2】金融引き締め姿勢を維持

インフレ見通しを据え置き

■金融政策決定会合で、中銀は3カ月連続で上限金利の引き下げに踏み切りましたが、金融引き締め姿勢自体は維持しました。4月の消費者物価指数は前年同月比+6.57%と、3カ月連続で低下しましたが、中銀は、コアインフレ率の改善が限定的であるとして、2016年末のインフレ見通しを7.5%に据え置いています。金融政策は先行きのインフレ見通しに基づいて行うとしており、今後も引き締め姿勢を継続する方針を示しました。

【今後の展開】中央銀行の信任は崩れず、トルコリラは底堅く推移しよう

■今後も翌日物貸出金利を引き下げる見込み
中銀は今後も1週間物レポ金利は据え置きながら、翌日物貸出金利を引き下げ、金利コリドー幅の縮小を続けると見ています。1週間物レポ金利の引き下げは、政権からの金融緩和圧力に屈し、中銀の独立性低下と捉えられる懸念があるからです。

■市場は新総裁のスタンスに注目
市場は、4月に交替した新総裁のチェティンカヤ氏のスタンスに注目していますが、これまでのところ前総裁の引き締め姿勢を踏襲しており、失望していないようです。中銀の信認が崩れず、引き締め姿勢を堅持していることで、リラは当面底堅く推移すると見られます。

関連マーケットレポート