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インドの『モンスーン』、足元の降雨量はやや下振れ【キーワード】

2018年7月13日

<今日のキーワード>
『モンスーン』とは、夏季の南西風がもたらす雨季のことです。インドでは『モンスーン』の期間である6月から9月の降雨量は、年間降雨量の70%以上を占めます。インドは、農業従事者の全就業人口に占める割合が約5割と高く、農産物の生産量を左右する『モンスーン』の降雨量は、経済活動や物価動向に大きな影響を与えます。インドの金融市場で注目される 今年の『モンスーン』の降雨量はどうなっているのでしょうか。

【ポイント1】足元の降雨量はやや下振れ

長期予報では平年並みの予想

■インド気象庁(IMD)は7月5日、直近の降雨状況を発表しました。それによると、6月の降雨量は、インド全体で過去50年の長期平均を5%下回りました。6月1日から7月4日までの累積ベースでは、長期平均を7%下回っており、これまでのところ降雨量はやや下振れしています。

■IMDは5月30日に、2018年の『モンスーン』(6月~9月)降雨量の2次予報を発表しています。1次予報と同様に、『モンスーン』の降雨量を「平年並み(過去の長期平均に対し97%)」と予測しています。IMDは、「平年並み」を同96%~104%と定義しています。

【ポイント2】食料品のインフレリスクに注意

作付け面積も前年を下回る

■IMDの予報通り、『モンスーン』が「平年並み」の降雨であれば、インド経済は順調な成長が期待されます。農産物の生産増により農村部の所得が上昇することで消費が上向くほか、食料品のインフレ抑制効果が見込まれるためです。

■ただし、足元までの降雨量はやや下振れていることに加え、インド農業省の発表によれば、7月6日時点の夏作物の作付け面積は前年を14%下回っており、食料品のインフレにつながりやすい状況にある点に注意が必要です。

【今後の展開】インフレ圧力が高まるなか、7月の降雨量が注目される

■インドでは、特に7月の降雨量が、農産物の生産量や食料品のインフレ率に与える影響が大きいとされます。IMDの予報によれば、7月の降雨量は「平年並み(過去の長期平均に対して101%)」と予想されているものの、天気予報は想定通りとならないことも多いため、実際の降雨量が注目されます。

■インドの5月の消費者物価上昇率は前年同月比+4.9%と前月から加速しました。原油高・通貨安を受けた、生産コストの上昇が主な要因とみられます。その後も原油高・通貨安が続いていることに加え、 『モンスーン』の降雨量が足元でやや下振れしてることもあり、インフレ圧力は高まりやすいと考えられます。インド準備銀行は、次回8月の金融政策決定会合で6月に続き利上げを行う可能性があります。

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