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党首退任の『メルケル』、首相続投できるのか?【キーワード】

2018年11月6日

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2005年から長きに亘りドイツ首相を務める『メルケル』氏は、州議会選挙での連敗を機に党首を退任する意向を表明しました。2015年に深刻化した難民問題が求心力低下のきっかけであり、与党の支持率低下の一方で極右政党の「ドイツのための選択肢」が支持を拡大しています。『メルケル』首相は2021年の任期満了まで首相を務めるとしていますが、党首交代等、今後の展開ではそれも危ういとの見方も出てきています。

【ポイント1】求心力が低下する『メルケル』首相

難航した政権発足から半年、与党牙城の州議会選挙で連敗

■ドイツの『メルケル』首相は、与党・キリスト教民主同盟(CDU)の12月党大会での次期党首選挙に出馬しない意向を表明しました。『メルケル』首相は2000年からCDUの党首を務め、2005年には首相に就任しました。そして2017年9月に行われた総選挙では、議席を減らしながら辛くも4選を果たしました。しかし、連立交渉は難航し、今年3月の政権発足まで半年を要するなど、求心力の低下が懸念されてきました。

■最近では与党内部の抗争が表面化していました。加えて、10月に行われたバイエルン州とヘッセン州の州議会選挙では、これまで与党の牙城だったにもかかわらず、第1党の座を確保しつつも大幅に議席を減らし、与党は大敗を喫しました。『メルケル』氏は敗選の責任を取る形で、次期党首選挙への立候補を断念しました。

【ポイント2】極右政党・Afdの躍進

きっかけは移民問題への不満の高まり

■『メルケル』氏は主要国の中でも首相在任期間が長く、欧州政治の要と見られています。しかし、2015年に欧州で難民問題が深刻化するなか、当初『メルケル』首相は難民受け入れに柔軟な姿勢を示したことで、ドイツ国内では不満が高まっていき、与党の支持率低下に繋がりました。

■一方で、支持率を高めてきているのが、「ドイツのための選択肢(Afd)」です。Afdは、2013年に反欧州連合(EU)を掲げて結党された極右政党で、反移民でもあり、支持を拡大してきています。バイエルン州議会選挙では、得票率10.2%で初めて議席を獲得しました。

【今後の展開】首相職は任期満了まで持つか、来月の与党党首選に注目

■12月のCDU党大会で実施予定の次期党首選の候補として、現在6名の名前が挙がっており、このうちクランプカレンバウアー氏、シュパーン氏、メルツ氏の3名が有力と見られています。クランプカレンバウアー氏はミニ『メルケル』とも言われる親『メルケル』で、同氏が当選した場合には比較的スムーズに移譲が可能と見られます。一方、残り2名は反『メルケル』です。『メルケル』氏は党首を退任しても、首相は任期満了の2021年まで務めるとしていますが、次期党首が反『メルケル』となった場合、求心力の維持は一段と難しくなると見られます。

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