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正念場を迎える『ブレグジット』

2019年10月16日

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10月末の離脱期限が迫るなか、英国の欧州連合(EU)からの離脱(『ブレグジット』)が正念場を迎えています。10月2日、ジョンソン首相は最大の懸案であるアイルランドの国境問題について新提案を行いました。当初否定的だったEU側も歩み寄り、現在大詰めの交渉が行われています。経済活動に大きな混乱を生じさせる「合意なき離脱」を避けられるのか、17、18日のEU首脳会議と19日から始まる英国議会が注目されます。

【ポイント1】ジョンソン首相はアイルランド国境問題で新提案

英国とアイルランドの首相が会談

■ジョンソン首相は10月2日、 『ブレグジット』に関して最大の争点になっている北アイルランドとアイルランドの国境管理問題について、税関審査を簡素化することなど新たな提案をしましたが、EU側は新提案について改善が必要として、難色を示していました。

■しかし、10日にジョンソン首相とアイルランドのバラッカー首相が首脳会談を行い、合意への道筋で一致したのに続き、11日には英国とEUが協議を加速させ、妥協点を探ることで一致しました。

【ポイント2】英国とEUが歩み寄り

EUとの合意なるか注目

■英国とEUの歩み寄りによって現在大詰めの交渉が行われています。最大の争点になっている北アイルランドの扱いについて法的には英国の関税領域にとどめながら、実務上はEUの関税ルールが適用される仕組みとする案で調整が進んでいる模様です。17日から始まるEU首脳会議までに合意に至れるか注目されます。

■ただ、仮にEUと合意できたとしても、19日に開かれる予定の英国議会で承認を得られなければ、ジョンソン首相は離脱の延期をEU側に要請することが法律で義務づけられています。

【今後の展開】「合意なき離脱」は避けられよう

■『ブレグジット』については、10月末の離脱期限を控えて、EU首脳会議、英国議会に加え、欧州議会での承認を得る必要があります。英国とEUの交渉が合意したとしても、英国議会、欧州議会の承認の時間がかかるため、最終的には時間切れで、テクニカルな短期の延期の可能性が高いと思われます。

■一方、19日までに合意ができない場合、離脱延期法により英国政府はEUに『ブレグジット』の延期を申請する必要がありますが、ジョンソン首相は延期申請をしないスタンスを続けています。ジョンソン首相が19日中に延期申請をしない場合、先行きが不透明になり、「合意なき離脱」のリスクが高まります。ただし、EUと合意できない場合でも、何らかの形で英国からEUに離脱延期申請がなされて、EUが延期を承認する展開になると想定しています。

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