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ブレグジットの是非を再び問う英『総選挙』

2019年11月1日

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英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡り、10月末の離脱期限を前に英国政府とEUは離脱協定案で合意しましたが、英議会は同案に関するスピード審議を否決しました。EUは、経済に混乱をもたらす「合意なき離脱」を回避するため、離脱期限を来年1月末まで延期することを決定しました。こうした中、英議会上下両院は『総選挙』を12月12日に行う法案を可決し、ブレグジットの是非を再び国民の審判に仰ぎます。

【ポイント1】『総選挙』は12月12日に実施

最大の争点はブレグジットの是非

■英議会下院は10月29日、ジョンソン首相がブレグジット問題への国民の信を問うために提案した、『総選挙』を前倒しで行う特例法案を賛成多数で可決しました。続いて上院も30日、同法案を可決しました。11月6日に議会が解散され、12月12日に『総選挙』が行われる見通しです。ブレグジット問題は、再び国民に是非を問うことになりました。

■『総選挙』の最大の争点は、ブレグジットの是非及びジョンソン首相がEUと合意した離脱協定案です。与党と野党各党は選挙を見据え、有権者への訴えを活発化させています。

【ポイント2】与党は合意案に基づくEU離脱

野党はEU離脱合意阻止を主張

■ジョンソン首相は、『総選挙』で与党保守党が勝利し、過半数を確保することで、速やかにEUとの合意に基づいて、離脱を実現させることを目指しています。

■野党側は、『総選挙』で政権交代に持ち込んでジョンソン首相がEUと合意した離脱を阻止したい考えです。最大野党・労働党は政権に就いた場合、よりよい離脱条件を求めEUと再交渉したうえで、離脱か残留かを決める国民投票を再び実施するとしています。これに対し第3党のスコットランド民族党と第4党の自由民主党はEU残留を支持する立場です。

【今後の展開】保守党勝利でブレグジット実現の可能性

■最新の世論調査(Electoral Calculus、10月30日付)によれば、保守党は現在の288議席を大幅に上回る363議席を確保し、「圧勝」する見通しです。『総選挙』で保守党が勝利すれば、ジョンソン首相はEUとの合意に基づいて議会での手続きを進め、来年1月末までにEUを離脱(20年末までは移行期間)することになります。現状ではブレグジット実現の可能性が高いとみられますが、英国の世論調査は精度がさほど高くなく、また、12月の投票日までに情勢が大きく変化する可能性もあり、注意が必要です。  

■一方、『総選挙』で野党が勝利した場合は、EUとの再交渉や離脱の是非を問う2回目の国民投票などを主張しているため、ブレグジットの先行きが再び不透明になりそうです。

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