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2015年を振り返るキーワード  「原油・商品価格動向」(グローバル)【キーワード】

2015年12月9日

<今日のキーワード>
2014年半ば以降、原油安が進行し、世界経済や金融市場に大きな変化がみられました。エネルギー価格の低下でインフレ圧力が大幅に後退したため、年初から多くの国々が金融緩和に踏み切りました。その一方で、資源産出国の経済に対する懸念が強まり、それらの国々の通貨は総じて大幅な調整を余儀なくされました。原油や商品相場は足元で一段安となっており、今後の動向が注目されます。

【ポイント1】原油価格は年初から軟調に推移

12月7日に年初来安値を更新
■原油価格の代表的な指標にニューヨーク・マーカンタイル取引所に上場されているWTI原油先物価格(以下、WTI)があります。WTIは年初から軟調に推移し、3月に1バレル=42ドル付近まで下落しました。5月から6月にかけていったん60ドル台を回復しましたが、買い続かず反落し、8月24日に37ドル75セントの安値をつけました。その後も上値は重く、12月7日に37ドル50セントまで下落し、年初来安値を更新しました。

【ポイント2】CRB指数も安値更新

需給悪化懸念が相場の重しに
■エネルギーや農産物、貴金属など国際商品の値動きを示す代表的な指数であるロイター・ジェフリーズCRB指数もWTIと同様、年初から軟調な動きが続き、12月7日に年初来安値を更新しました。

■原油安の背景は、米原油在庫の積み上がりや12月4日の石油輸出国機構(OPEC)総会で高水準の原油生産が容認されたことなどによる需給悪化懸念があります。また中国など新興国経済が鈍化したことで、国際商品需要が減少するとの見方が強まり、これも商品相場の低迷につながったようです。

【今後の展開】短期で急落しなければ世界経済や市場の混乱は避けられよう

■この先、核問題に絡むイランの経済制裁が解除された場合、イラン産原油が市場に供給されるため、一段の需給悪化が予想されます。そのためWTIはしばらく下値を試す動きが見込まれますが、米国の石油リグ(掘削装置)稼働数が大幅に減少しているため、これが先行きの供給減に寄与するとみられます。

■原油安や商品価格の下落は、産出国の経済や金融資産にマイナスの影響を及ぼしますが、それらを輸入している国は広く恩恵を受けることになります。原油や商品相場がここから短期間で急落するような事態にならない限り、金融市場や世界経済全体が大きく混乱する可能性は低いと言えそうです。

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