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リートの『ディフェンシブ性』とは?

2019年6月28日

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リートは、景気の変動による影響を受けにくい、いわゆる『ディフェンシブ性』を持った資産と言われます。特に、景気後退期など、金融市場の変動性が高くなる局面において下方硬直性を発揮し、下落幅が株と比較すると小さく抑えられる傾向があります。リートの仕組みや特徴から、なぜ『ディフェンシブ性』があるのか、について考えてみます。

【ポイント1】賃料収入は安定的

■リートとは「不動産投資信託」のことを言います。投資家から集めた資金を不動産(オフィスビル、商業施設、賃貸マンション等)に投資し、維持・管理や必要に応じて買い替え等を行うことで得られた賃料収入や不動産の売却益等を投資家に配当する仕組みです。

■不動産の賃貸では、複数年の契約期間にわたり、経済状態に関わりなく賃貸料を所有者に支払う契約上の義務があります。賃料の改定も不動産ごとに行われるため、タイミングが分散されます。このため、リートの不動産賃料は株式などに比べて景気の変動に比較的左右されにくいと言えます。

【ポイント2】相対的に高い配当利回り

■リートは、利益のほとんどを投資家に分配する仕組みになっています。このため、一般の株式などに比べて相対的に高い利回りが期待できます。

■リートの配当利回りはアジアでは4%程度で、アジア株全体の2.9%を上回っています(いずれも含む日本)。株式市場の下落局面では長期金利が低下する傾向がありますが、リートと国債の利回り差が拡大するため、インカム収入を選好する投資家がリートに資金を振り向けることがあります。これも株式市場の下落局面でのリートの下値抑制となります。

【今後の展開】リートを取り巻く環境は良好

■2019年5月には、米中貿易摩擦の再燃などから株式など金融市場が大きく下落しました。日米の株式市場はS&P500種指数は月間で▲6.6%、TOPIXが▲6.5%下落したのに対し、リートはオーストラリアが+2.9%、香港が+1.9%、シンガポール市場が+0.1%、日本は+1.8%と上昇しました(いずれもトータルリターン、現地通貨ベース)。

■世界経済減速に対する不透明感が高まる環境において、リートの安定した賃貸収入や相対的に高い配当利回りなどに裏打ちされた『ディフェンシブ性』がもたらす効果がより際立ち、リートを取り巻く環境は良好と見られます。

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