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『第4次産業革命』が日本のGDPを押し上げる【キーワード】

2017年9月1日

<今日のキーワード>
モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)の導入とそれを活用した企業行動の変革などを意味する『第4次産業革命(*)』は世界の潮流となってきています。『第4次産業革命』は日本のGDPを大きく押し上げると期待されますが、日本では海外企業に比べて人材や海外への投資を通じた企業改革が遅れています。日本経済の成長率を押し上げるために企業は自ら改革を進めてゆく重要性が改めて浮き彫りになっています。

【ポイント1】2030年の実質GDPは725兆円。年平均成長率は+2.4%

■総務省は、「平成29年版情報通信白書」(注)の中で、IoT・AIの導入と企業改革が進展した場合の経済インパクトについて試算しました。具体的には、2030年までの市場規模、実質国内総生産(実質GDP)、就業者数などを予測し、内閣府の中長期経済予測に基づくベースシナリオと比較することで、『第4次産業革命』のインパクトを概観しています。IoT・AIの導入によってまずサービスやコンテンツ、ソフトウェアといった需要が増加します。こうしたサービス開発に多くの労働力が投入されることで所得へと波及し、家計の消費を押し上げると考えられます。こうした効果も勘案した上で、2030年時点の実質GDPを試算すると、725兆円となりました。これは内閣府が推計したベースシナリオを132兆円、22%程度上回る予測です。また、2016年からの年平均成長率は+2.4%になると試算されました。


(注)出典:「平成29年版情報通信白書」(総務省)より作成。
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/pdf/n3500000.pdf。158~165ページ。

(*)第1次産業革命:18-19世紀初頭(軽工業の機械化)、第2次産業革命:19世紀後半(重化学工業の発展)、第3次産業革命:
20世紀後半(インターネット、情報通信技術の急速な普及)、第4次産業革命:現在。IoT、AI等の発展で経済や社会構造の変革を誘発。

【ポイント2】期待される生産性の向上

■業種別には、「製造業」、「商業・流通」、「サービス業」における企業改革の進展が日本経済に大きなインパクトをもたらしそうです。

■また、IoT・AIの導入によって女性や高齢者の労働参画の促進や、労働の質の向上が進むと見られます。人口減少が進む中、就業者数の減少は避けられませんが、生産性の向上が労働力不足を補うと期待されます。

【今後の展開】企業改革のスピードを加速する必要がある

■『第4次産業革命』にとって重要な要素であるIoT・AIの導入状況をグローバルで比較すると、欧米企業では幅広い業種に浸透しつつあるのに対して、日本では「情報通信業」に偏るなど、多業種へ広がっていない点が課題です。また、社内外での業務改革、人材や知的財産、海外への投資などを通じた改革が海外企業より遅れています。日本経済の成長率を押し上げるためには、企業改革のスピードを加速する必要がありそうです。

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