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親子上場見直しや東証改革で『企業再編』が加速か?

2019年4月4日

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政府は少数株主の利益が損なわれる懸念がある親子上場の見直しに着手、上場子会社の取締役は親会社から独立した社外取締役の比率を高めることなど新たな指針を策定する方針です。同様に東京証券取引所(東証)は現物株市場の見直しに着手、市場区分の再編に関する論点整理を公表しました。こうした取り組みが欧米に比べて遅れている国内の『企業再編』を促すと期待されており、今後の動向が注目されます。

【ポイント1】親子上場や現物株市場の見直しが『企業再編』を促す

■親子上場とは、親会社と子会社が共に株式を上場をしていることを言う日本特有の構造ですが、親会社の利益が優先され、子会社の少数株主の利益が損なわれる懸念があります。これを払拭するため、政府は上場子会社の取締役については、親会社から独立した社外取締役の比率を過半か3分の1以上とすることや、親会社には親子上場している合理的理由の情報開示を求めるなど新たな指針を策定する方針です。

■東証は3月27日、市場区分の再編に関する論点整理を公表しました。企業の成長段階や投資家層に応じた3つの市場への再編や、退出基準に時価総額を加えることなどをあげました。具体的な制度設計は今後検討していく方向です。これらの取り組みが契機となり、『企業再編』が加速することが期待されます。

【ポイント2】日立製作所は親子上場の見直しにより『企業再編』を促進

■親子上場の見直しなどにより『企業再編』を他社に先駆けて実施してきた企業に、日立製作所やパナソニックなどがあります。

■日立製作所は、2000年代には上場子会社が20社を上回っていましたが、それを4社まで削減しました。中核事業と位置づけたソフトウエア事業などは完全子会社化(=上場廃止)しました。一方、本業と関連の薄い金融・物流や、商品サイクルが短く業績の変動の激しい半導体関連などは非中核事業と判断し、売却を進めました。
   
■パナソニックも電子部品、通信機器、住宅関連事業などで完全子会社化(=上場廃止)を進めました。

【今後の展開】『企業再編』が加速して、競争力強化につながることが期待される

■親子上場の見直しは、日立製作所など資本効率の改善に寄与した事例も多く、親子上場の見直しや東証での上場基準厳格化などの見直し内容によっては、『企業再編』が加速して、上場企業の競争力強化につながることが期待されます。また親子上場の見直しは、完全子会社化でも売却によっても、その際の子会社の価格は市場価格を上回る場合が多く、市場での注目も高まっています。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

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