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『SQ』に向け日本株は波乱含みか?

2019年8月29日

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9月13日に先物とオプション両方の“Special Quotation”(『SQ』)を迎えます。『SQ』の前は突然変動率が高まったりすることがありますが、日本の株式市場は、米中貿易摩擦激化や円高リスクなど不安要因を抱える一方、ネット裁定残高が過去最高の売り超となるなどショートポジションが極めて高水準にあります。このため今回は特に変動が大きくなる可能性があり、『SQ』に向け波乱含みの展開が予想されます。

【ポイント1】『SQ』とは先物・オプション取引を決済するための特別清算指数

『SQ』前は変動性が高まる傾向

■9月13日に『SQ』を迎えます。『SQ』とは株価指数の先物取引やオプション取引などを、決済期日で決済するための「特別清算指数」のことを指します。

■投資家は『SQ』に向けて多様なポジションの決済等の対応を迫られます。『SQ』前に何らかの要因で株価が変動した場合にポジションを一気に解消する動きが出て、株価の変動率が大きくなる傾向があります。

【ポイント2】積みあがるショートポジション

ネット裁定残高はマイナス拡大、空売り比率は高水準

■『SQ』を迎えるに当たり、ポイントとみられるのは、積みあがるショートポジションです。ネット裁定残高は大量の先物売りなどにより、まれにはマイナスとなる場合もありますが、8月23日時点で▲7.01億株と過去最低水準にあります。マイナスは、国内大手銀行が破綻・一時国有化された1998年と、英国が欧州連合(EU)離脱を決めた2016年、及び2018年に示現しましたが、6営業日以内に収束しました。今回は51営業日連続で売り超となっており異例な状況となっています。

■空売り比率は一般に40%を超えると高水準とされますが、3月5日~8月27日まで117営業日連続で40%超が続いており、現物株のショートポジションも高水準です。

【今後の展開】『SQ』に向け日本株は波乱含みの展開か?

■今回は外部環境に懸念材料が多い一方、ショートポジションが異例に積み上がり波乱含みの状況で『SQ』を迎えます。当限月のオプションの建玉をみるとコールは21,000円が多く、これを上回ると建玉の買い戻しに加えて、積み上がったショートポジションのカバーが一気に進み、株価の上昇が加速する可能性があります。一方、プットは20,000円の建玉が多く、これを下回ると株価の下落が加速する可能性があります。ただし、『SQ』前の株価の大幅変動は、ポジション整理のための一時的なものであることに留意する必要があります。

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