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『敵対的買収』は日本に定着するか?

2019年09月30日

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『敵対的買収』は相手企業の合意なく株式を取得して支配権を握る行為を指します。世界的には『敵対的買収』は珍しくありませんが、日本の大企業同士の事例は長い期間みられませんでした。ただ、今年に入り国内企業による国内企業の『敵対的買収』が行われ、株式市場の話題を集めています。今後欧米のように日本でも『敵対的買収』が定着していくか注目されます。

【ポイント1】『敵対的買収』は持ち合い解消の進展が背景

■2006年に、王子製紙(当時)の北越製紙(同)への株式公開買い付け(TOB)による『敵対的買収』が失敗に終わって以降、日本の大企業同士の事例はみられませんでした。これは日本独特の企業間の株式持ち合いによる安定株主の存在により、『敵対的買収』が困難な状況にあったことが主な要因です。

■ただ、近年コーポレートガバナンス(企業統治)が強化され、持ち合い株を保有する企業は株主への説明責任などを求められ、持ち合い解消を進めました。これにより『敵対的買収』へのハードルが下がりました。

【ポイント2】国内企業間の『敵対的買収』が発生

■伊藤忠商事は株式25%を保有する持ち分法適用会社のスポーツ用品大手デサントと関係強化を図ってきましたが進展せず、今年1月末、デサントの保有比率を40%まで高めるTOBの実施を決めました。これに対してデサント側が反対を表明して『敵対的買収』に発展しました。結局TOBは成立し、創業家出身の石本社長が退任する結果となりました。相手の合意がない大手企業同士の敵対的TOBとしては、日本で初の成功例となりました。

■エイチ・アイ・エス(HIS)は7月10日、不動産会社ユニゾホールディングス(HD)株へのTOBを実施すると発表しました。これに対してユニゾHDは、反対の意見表明をして、ソフトバンクグループ傘下の投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループと組み、HISに対抗しました。結局HISのTOBは不成立となり、『敵対的買収』は失敗に終わりました。

【今後の展開】『敵対的買収』は定着の方向

■『敵対的買収』は買収成功後の企業融和への取り組みなどが必要となりますが、人材や資本などの経営資源が再配分され、経済全体の活性化や生産性の向上につながるなどのプラスの側面もあります。持ち合い解消が進みコーポレートガバナンスが強化されるなか、欧米同様に、友好的な買収に加えて日本でも『敵対的買収』が定着していく方向とみられます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

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