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『街角景気』、駆け込み需要で上振れ

2019年10月9日

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「景気ウォッチャー調査」、いわゆる『街角景気』とは、景気に敏感なタクシー運転手や小売店、メーカー、輸送業、広告代理店など、地域の景気の動きを敏感に観察できる立場にある約2,000人を対象とした調査です。9月の『街角景気』では、足元の景況感を示す現状判断指数(DI)は前月から大きく上昇する一方、先行きを示す先行き判断DIは低下しました。消費増税を目前に、予想以上の駆け込み需要があったとみられます。

【ポイント1】現状判断DIは前月比+3.9ポイントの46.7と大きく上昇

先行き判断DIは▲2.8ポイントの36.9と、14年3月以来の低水準

■2019年9月の『街角景気』によると、現状判断DI(季節調整値)は前月比+3.9ポイントの46.7でした。上昇は2カ月連続であり、水準は19年2月以来の高さとなりました。項目別では、家計動向関連、企業動向関連が上昇しました。小売業を中心に、消費増税前の駆け込み需要が出た模様で、百貨店と家電量販店の上昇が目立ちました。企業動向関連でも駆け込み需要がみられました。一方、雇用関連は低下しました。

■先行き判断DIは前月比▲2.8ポイントの36.9と、3カ月連続で低下し、前回の消費増税前の14年3月以来の低さとなりました。先行きに対する慎重姿勢が一段と強まったと言えます。全ての項目で悪化しており、消費増税後の需要の落ち込みや、設備投資関連の見積もり、中国市場関連の受注への懸念が示されました。他方、キャッシュレス決済のポイント還元への期待がみられました。

【ポイント2】現状のコメントは「駆け込み」が急増

先行きは「節約」「不安」が増加継続

■街角の声をより客観的に分析する、当社独自のテキストマイニングによる分析手法(*)によると、ウォッチャーの現状判断に関するコメントにおける単語の使用数は、「好調」、「良い」などのポジティブな単語がネガティブな単語を4カ月ぶりに上回りました。「駆け込み」が急増しました。

■先行き判断については、ネガティブな単語がポジティブな単語を上回り、その差が拡大しました。「節約」や「不安」にかかわる用語が引き続き増加しました。

(*)テキスト(文書)をコンピュータで探索する技術の総称。典型的な例として、テキストにおける単語の使用頻度を測定し、テキストの特徴を統計的に分析・可視化することで、背後にある有益な情報を探ることができます。

【今後の展開】“回復”に弱い動き、駆け込み需要の反動など消費動向に注目

■内閣府は『街角景気』について、駆け込み需要が一部にみられることに言及した他は、「このところ回復に弱い動きがみられる」、先行きについては「消費税率引上げや海外情勢等に対する懸念がみられる」との見方を維持しました。9月の『街角景気』は、予想以上に駆け込み需要がみられ、反動減への懸念などから先行き判断は一層悪化しました。軽減税率の適用やポイント還元、政府の景気対策などを踏まえ、駆け込み需要後の反動など今後の消費動向が注目されます。

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