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「ベージュブック」、安定成長が持続(米国) 【キーワード】

2016年9月9日

<今日のキーワード>
「ベージュブック」は、米国にある12の地区連邦準備銀行(地区連銀)が、管轄地域の経済状況をまとめた「地区連銀経済報告」のことです。表紙のベージュ色が名前の由来であり、経済情勢についての総合判断、主要産業の動向や雇用・物価動向などがまとめられています。「ベージュブック」は、年に8回開催される連邦公開市場委員会(FOMC)の2週間前の水曜日に公表され、金融政策の判断材料として用いられます。

【ポイント1】ほとんどの地域で「経済活動は引き続き緩慢なペースで拡大」

先行きについても、緩やかに拡大する見通し

■9月7日に公表された最新の「ベージュブック」では、ほとんどの地域で「経済活動は引き続き緩慢なペースで拡大している」と総括されました。前回報告(7月13日公表)とほぼ同様の評価でした。先行きについても、12の地区連銀すべてが概ね緩やかな経済成長を見通しています。

【ポイント2】労働市場は概ねタイト

製造業、非製造業はともに増加

■労働市場については、雇用は緩やかなペースで増加したとされ、大半の地区では引き続きタイト(引き締まった)な状態が続いているとされました。一方、賃金の伸びについては横ばいから力強いまで幅広い回答となりましたが、ほとんどの地区で賃金上昇圧力は控えめと指摘されました。また、物価上昇についてもわずかだとされています。

■製造業および非製造業の活動については、ともに増加したと見られています。今月初に発表されたISM指数では、製造業は6カ月ぶりに中立水準を割り込み、非製造業は中立水準を上回ったものの6年半ぶりの水準まで低下しました。これを受け、米景気の拡大ペースが急速に低下したのではと懸念されましたが、「ベージュブック」では底堅さが確認されたと見られます。

【今後の展開】堅調な労働市場を背景に、年内利上げの可能性を探る

■今月20~21日に開催されるFOMCでは、今回の「ベージュブック」を基に金融政策について議論されます。物価上昇はわずかながらも、労働市場がタイトであることなどを背景に、年内の利上げを探るものと思われます。

■今回の「ベージュブック」では、経済活動の拡大の勢いが前回7月時点と変わっていないことが示されました。こうした安定成長が持続する米国では、今後は企業業績の改善が期待でき、株式市場は引き続き堅調な展開が見込まれます。

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