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『米中対立』は大統領選をにらみ一段と激化

2020年8月27日

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『米中対立』が一段と激化しています。大統領選挙をにらみ、トランプ政権の対中政策は、これまでの貿易や知的財産から、その対象を拡大しています。トランプ政権は、中国の金融機関に打撃を与えかねない「香港自治法」を成立させました。さらに、動画共有アプリ「TikTok」の米国事業売却やファーウェイに対する規制強化などにより、中国に対する締め付けを強めています。

【ポイント1】香港への統制を強める中国に対し「香港自治法」を制定

■トランプ大統領は7月14日、香港市民の権利を弾圧する中国当局者への制裁を可能にする「香港自治法」に署名し、成立させました。また、香港に対する貿易などの優遇措置を廃止する大統領令にも署名しました。これらは、6月末に施行された、中国が香港への統制を強める「香港国家安全法」の対抗措置と考えられます。トランプ政権は8月7日、香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官らへの制裁を決めました。

■また、トランプ政権は中国企業の米国での上場基準や監査の厳格化も打ち出しています。これを受けて中国企業の米国離れが進み、中国本土や香港市場に重複上場する動きが出ています。

【ポイント2】「TikTok」の売却を命じる

「ファーウェイ」との取引を事実上禁止

■トランプ大統領は8月6日、世界的に人気の動画共有アプリ「TikTok」を運営するバイトダンスと、SNSなどを運営するテンセントの、中国IT企業2社との取引を禁じる大統領令に署名しました。ユーザーのデータを集めて中国共産党に提供する恐れがあり、安全保障上の脅威になるとしました。14日にはバイトダンスに対し、米国内の事業売却を命じました。

■米商務省は17日、中国の華為技術(ファーウェイ)に対する事実上の禁輸措置を強化すると発表しました。米国の技術がからんだ半導体やソフトの、外国メーカーからの供給を禁止し、ファーウェイへの包囲網をさらに強めました。

【今後の展開】『米中対立』は長期化が避けられない

■トランプ政権の対中政策は、大統領選挙をにらみ、一段と厳しさを増しています。『米中対立』の焦点は貿易や知的財産から、米国に上場する中国企業の監査基準を厳格化するなど、金融・資本市場の規制へと広がりつつあります。米国の対中政策は、超党派が一致している数少ない政策であり、仮に民主党政権が誕生したとしても、中国に対する圧力は継続するとみられ、『米中対立』は長期化が避けられないと思われます。

*個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

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