マーケットレポート

MARKET REPORT

先月のマーケットの振り返り(2018年2月)【マンスリー】

2018年03月02日

1.概観

トピックス (1)ここからの日本株展望
(2)ドル円相場の要点整理
株式 米国の株式市場は、良好な雇用統計を受けた利上げ観測の高まりから、NYダウが大幅に調整しました。
欧州の株式市場は、米国をはじめとする世界的な株価下落の影響を受け、ドイツのDAX指数や英国のFTSE指数は下落しました。
日本の株式市場は、米国株式市場の急落に加え、円高・ドル安の進行が重石となり、日経平均株価が大幅に下落しました。
債券 米国の長期金利は、賃金や物価関連指標の上振れから、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが加速するとの見方が強まり、上昇しました。
欧州の長期金利は、世界的な株価の下落や、選挙を控えたドイツやイタリアでの政治的な不透明感の強まりから、低下しました。
為替 円の対米ドル、ユーロ、豪ドル相場は、いずれも上昇しました。世界的な株価急落を受けリスク回避の動きが強まったことに加え、欧州ではドイツやイタリアの政局への警戒感が台頭したこと、豪州では消費者物価統計が事前の予想を下回ったことで利上げ観測が後退したことが、円を押し上げました。
商品 商品 原油先物価格は、米国の原油在庫やリグ稼働基数の増加を受けて需給悪化懸念が浮上したため、下落しました。   


(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

2.トピックス

(1)ここからの日本株展望

<注目点>

日経平均株価は、年初から上昇ペースが加速し、1月23日に24,129円の高値をつけました。しかしながら、2月14日には20,950円の安値をつけ、わずか16営業日で3,100円超の下落となりました。年初の上昇速度を勘案すれば、ある程度の値幅調整はやむをえないものの、これほど下げ幅が拡大したのは、米長期金利上昇に起因する米国株の急落や、VIX指数連動商品絡みの売りなどによるところが大きいと推測されます。足元では、日本株は、日柄調整の局面に入った公算が大きいと思われます。

<ポイント>

今後、株価が上昇する要因として、企業業績が重要な役割を果たすとみています。3月期決算企業の2017年4月~12月期決算では、製造業を中心に業績の回復が続いていることが確認されました(図表1)。ただ、好業績かつ割安な水準でも日本株の戻りが鈍いのは、市場の関心がすでに来年度の企業業績に移りつつあるためだと思われます。弊社は調査対象のコアリサーチ・ユニバース224社(金融を除く)の経常利益について、2018年度は前年度比+9.5%を予想しています(図表2)。前提となるドル円レートは1ドル=110円ですが、これを1ドル=105円とすると、経常利益の伸び率は同+6.5%に低下します。ただし、弊社は、3月までのドル安・円高の目途は105円程度、米10年国債利回りの上昇目途は3%程度とみています。加えて米国株が安定を取り戻せば、日本株は日柄調整後の切り返しが期待されます。

 

(2)ドル円相場の要点整理

<注目点>

年初から1月下旬までは、世界的な株高が続くなか、為替市場ではドルが対主要通貨で下落する「ドル安」の動きが顕著となりました。その後、1月下旬から2月上旬にかけて、米長期金利の上昇を受け主要国で株価が大幅に調整すると、リスク回避の「円高」と、ドル安の巻き戻しによる「ドル高」が発生しました。2月中旬に入り、主要国の株価が徐々に落ち着きを取り戻すと、為替市場では再び「ドル安」の動きがみられるようになりました。このように整理すると、年初から足元までは、基本的に株式などリスク資産の上昇を伴うドル安相場が続いていると判断できます。ただし、途中の大幅な株価調整で、一時的なリスク回避の円高が発生し、これが結果的に、ドル安・円高の勢いを加速させたと考えられます(図表)。

<ポイント>

ドル円相場は見かけ上、ドル安・円高が進行しています。しかしながらこれは、世界的な景気後退やリスク資産の下落を伴う「リスクオフの円高」ではなく、世界的な景気回復やリスク資産の上昇を伴う「リスクオンのドル安」と考えられます。また、市場では最近、米長期金利上昇でもドル安が進行する理由として、米財政収支の悪化を指摘する向きがみられます。米財政収支が悪化するため、米長期金利の上昇は悪い上昇となり、ドルには下落圧力が生じるとの見方です。ただ、一般に米国の双子の赤字(経常収支の赤字と財政収支の赤字)については、世界的に景気が冷え込み、証券投資が停滞する場合などに、強いドル安要因となるケースが多いように思われます。そのため、現時点のマクロ環境や金融情勢を勘案すれば、足元のドル安は、まだリスクオンのドル安という面の方が強いのではないかとみています。

 

3.景気動向

<現状>

米国は、10-12月期の実質GDP成長率が前期比年率+2.5%でした。個人消費と設備投資は良好でしたが、在庫投資と純輸出が足枷となりました。
欧州は、10-12月期の実質GDP成長率が前年同期比+2.7%となったもようです。
日本は、10-12月期の実質GDP成長率が前期比年率+0.5%と、前期の同+2.2%からは鈍化したものの、8四半期連続のプラス成長となりました。
中国は、10-12月期の実質GDP成長率が前年同期比+6.8%と、前期と同じ伸び率となりました。
豪州は、資源セクターが軟調ですが、非資源セクターが景気を下支えしています。


<見通し>

米国は、個人消費と設備投資の二本の柱を軸に、緩やかな成長を維持する見通しです。トランプ大統領の税制改革(減税)の効果も見込まれます。
欧州は、内需の拡大に加え、アジア向けを牽引役とする輸出の増大により、+1%台前半と推計される潜在成長率を上回る成長が続く見通しです。
日本は、世界的な景気回復が続くなか、良好な雇用・所得環境を背景とした内需の拡大から、緩やかな成長が見込まれます。
中国は、政府による経済政策やIT産業の高成長により景気の失速は避けられ、安定した成長を続けると予想されます。
豪州は、資源セクターの調整が一巡し、景気は拡大のペースを速める見込みです。

4.企業業績と株式

<現状>

S&P500指数の18年2月の1株当たり予想利益(EPS)は162.43米ドル(前年同月比+21.1%)と、17カ月連続で過去最高を更新し、かつ3カ月連続で前年同月比二桁の伸びとなりました。東証株価指数(TOPIX)の予想EPSは128.97円(同+18.2%)と、9カ月連続で二桁の伸びとなりました(いずれも予想はトムソン・ロイターズI/B/E/Sベース)。
米国株式市場は、良好な雇用統計を受けた利上げ観測の高まりから、株価は大幅に調整しました。S&P500指数で前月比▲3.9%となりました。一方、日本株式市場も、米国株式市場の急落やVIX指数の大幅上昇、ドル安・円高の進行などが重石となり、大幅下落となりました。東証株価指数(TOPIX)は前月比で▲3.8%となりました。

<見通し>

S&P500指数採用企業の17年予想EPSは、18年2月28日時点で前年比+12.8%の増益と推計されます。続く18年はさらに加速し、同+19.2%の増益が予想されています(18年1月時点の予想は同+17.2%、トムソン・ロイターズI/B/E/S)。一方、日本の予想経常利益増益率は、17年度が前年度比+18.0%(前月は同+16.9%)、18年度が同+8.9%(同じく同+9.3%)と、18年度が若干下方修正されています(東証1部除く金融、QUICKコンセンサスベース、18年2月28日時点)。米国は景気拡大とトランプ減税の効果が見込め、引き続き業績予想の上振れが期待される一方、日本はドル安・円高が進む中で、業績見通しの先行きに神経を尖らせる展開となりそうです。

5.金融政策

<現状>

FRBは、1月30日~31日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利(FFレート)の誘導レンジを1.25%~1.50%で据え置くことを、全会一致で決定しました。
欧州中央銀行(ECB)は、1月25日の理事会で政策金利、預金ファシリティ金利をそれぞれ0.00%、▲0.40%に据え置きました。量的緩和政策については17年10月の決定通り、今年1月から月間購入額を従来の600億ユーロから300億ユーロに半減しました。
日本銀行は1月22日~23日に開催した金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決定しました。短期の政策金利を▲0.1%、長期金利である
10年物国債利回りをゼロ%程度に操作する金融調節を維持します。長期国債を買い増すペースも年約80兆円を目処とすることを据え置きました。

<見通し>

米国では、労働市場がほぼ完全雇用の状態に達したと見られることから、FRBは3月20日~21日に開催される次回FOMCで0.25%の利上げに踏み切る見通しです。その後もFRBは利上げを継続すると予想されますが、インフレ率の低位安定が見込まれるため、利上げのペースは緩やかと考えられます。
ユーロ圏では、ドラギECB総裁が量的緩和策の終了から利上げまでの期間について、ある程度の長さが必要との見方を示しています。この点を踏まえると、ECBは18年9月に量的緩和を終了させた後、19年以降に利上げを行うと予想されます。
日本は、経済が緩やかな拡大を続け、物価上昇率は高まるものの、日銀が目標とする2%に到達するには時間がかかる見通しのため、当面金融政策を据え置く見込みです。

6.債券

<現状>

2月末の米国10年国債利回りは、前月末に比べ上昇しました。1月の平均時間給や物価関連指標の上振れ等により、利上げのペースが加速するとの見方が強まったためです。ドイツ10年国債利回りは、世界的な株価急落に加え、イタリアの議会選挙や、ドイツの連立政権樹立の是非を巡る社会民主党の党員選挙を控えての不透明感の強まりから、低下しました。日本では、米金利上昇への警戒感が強まるものの、株価の急落に加え、黒田総裁再任を柱とする日銀の人事案公表を受けて台頭した金融緩和策維持との観測が、10年国債利回りを押し下げました。他方、米国社債については、国債とのスプレッドが小幅に拡大しました。

<見通し>

米国では、景気が底堅く推移するなか、緩慢なペースでの利上げ継続、FRBの資産圧縮などから、長期金利は緩やかにレンジを切り上げる見込みです。
欧州では、景気拡大が続くなか、物価上昇率も徐々に持ち直していくことが想定され、長期金利には上昇圧力がかかると予想されます。
日本では、物価上昇が緩慢なものにとどまるため、日銀の緩和的な金融政策は長期化し、長期金利は低位での安定した推移となる見込みです。
米国など主要国の社債市場は、企業の堅調な業績などを背景に、国債利回りとのスプレッドは安定的に推移する見通しです。

7.為替

<現状>

2月の円の対米ドル相場は、1月下旬のムニューシン米財務長官によるドル安容認発言等を受けてのドル安の流れに、株価急落を受けたリスク回避の円買いの動きが重なり、円高米ドル安が加速しました。対ユーロでも、リスク回避的な円買いの動きが強まったため、円高が進行しました。ドイツやイタリアの政局への警戒感により、ユーロ買いを控える動きがあったことも影響したと見られています。豪ドルの対円相場は、17年10-12月期の豪州の消費者物価上昇率が市場予想を下回り、豪州準備銀行(RBA)による利上げの観測が後退したこと等から、下落しました。 

<見通し>

米FRBによる利上げ継続や早期の税制改革(減税)成立を受けた米長期金利の上昇傾向が米ドルの支援要因となる一方で、経常収支の不均衡問題、日銀の金融政策の変化を巡る思惑が円を支える要因となり、円相場は対米ドルで一進一退の展開となる見通しです。対ユーロでは、良好な域内経済やECBの金融緩和縮小方針がユーロの支援材料になると予想されます。一方、豪ドルの対円相場は、資源価格が持ち直してきたことや、豪州と日本の金融政策の方向性が異なること(日銀は緩和姿勢維持に対し、RBAは据え置きの見通し)等から判断すると、底堅く推移すると考えられます。

8.リート

<現状>

グローバルリート市場は、米国の長期金利上昇を受け下落しました。為替効果はマイナスに寄与し、円ベースの月間下落率はドルベースの下落率を上回りました。

<見通し>

利上げの継続、FRB資産の圧縮などから、米長期金利は緩やかにレンジを切り上げる展開が見込まれますが、金融環境は依然、緩和的であり、投資家が相対的に高い利回りを求める需要が根強いことが引き続きグローバルリート市場をサポートすると考えられます。世界的な景気拡大と低金利環境の下で、グローバルリート市場は底堅い展開が予想されます。

9.まとめ

株式 S&P500指数採用企業の17年予想EPSは、18年2月28日時点で前年比+12.8%の増益と推計されます。続く18年はさらに加速し、同+19.2%の増益が予想されています(18年1月時点の予想は同+17.2%、トムソン・ロイターズI/B/E/S )。一方、日本の予想経常利益増益率は、17年度が前年度比+18.0%(前月同+16.9%)、18年度が同+8.9%(前月同+9.3%)と、18年度が若干下方修正されています(東証1部除く金融、QUICKコンセンサスベース、18年2月28日時点)。米国は景気拡大とトランプ減税の効果が見込め、引き続き業績予想の上振れ期待される一方、日本はドル安・円高が進む中で、業績見通しの先行きに神経を尖らせる展開となりそうです。
債券 米国では、景気が堅調に推移するなか、FRBは利上げや資産圧縮など金融政策の正常化方針を継続する見通しです。長期金利は緩やかにレンジを切り上げていくと考えられます。
欧州では、景気拡大が続くなか、今後はECBの金融緩和姿勢が徐々に後退していくことが想定され、長期金利には上昇圧力がかかる見込みです。
ただ、インフレの低位安定とユーロ高警戒感から、利上げは19年以降となる見込みです。長期金利の上昇は緩やかなものになると予想されます。
日本では、日銀のイールドカーブ・コントロールにより、長期金利は低位での安定した推移が予想されます。
米国など主要国の社債市場は、企業の堅調な業績などを背景に、社債スプレッドは安定的に推移する見通しです。
為替 経常収支不均衡問題や日銀の金融政策の変化を巡る思惑が円を支える要因となる一方、FRBによる利上げ継続、早期の減税策可決を受けた米長期金利の上昇傾向が円安要因となり、両者の綱引きのもとでレンジ相場が続くと見られます。
対ユーロでは、良好な域内経済やECBの金融緩和縮小方針がユーロの支援材料になると予想されます。一方、豪ドルの対円相場は、豪州景気の改善、世界的な景気回復を受けた商品市況の持ち直しを勘案すると、底堅く推移する見通しです。
リート 利上げの継続、FRB資産の圧縮などから、米長期金利は緩やかにレンジを切り上げる見通しですが、金融環境は依然、緩和的であり、投資家が相対的に高い利回りを求める需要が根強いことが引き続きグローバルリート市場をサポートすると考えられます。世界的な景気拡大と低金利環境の下で、グローバルリート市場は底堅い展開が予想されます。
  ※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。