マーケットレポート

MARKET REPORT

先月のマーケットの振り返り(2019年11月)

2019年12月04日

1.概観

株式 米国の株式市場は、米中協議の進展期待や米国の好調な経済指標などを背景に上昇しました。主要3指標がそろって史上最高値を更新しました。
日本の株式市場は、米中協議の進展期待に加え、円安が進行したことが好感されて上昇しました。欧州の株式市場も、米中協議の進展期待を背景に上昇しました。
一方、中国や香港の株式市場は中国経済の減速懸念や長期化する香港デモと米国で「香港人権・民主主義法」が成立したことによる米中協議への影響などが懸念され、下落しました。
債券 米国の長期金利は、米中協議の進展期待や好調な米経済指標を受けて上昇しましたが、その後は香港情勢の緊迫化などを受けて上昇幅が縮小しました。
欧州(ドイツ)の10年国債利回りや日本の10年国債利回りも、概ね米長期金利に連動し上昇しました。
為替 米ドルは対円で上昇しました。米中協議の進展期待に加え、米国の好調な経済指標などを背景に主要な株式指数が過去最高値を付けるなどリスク選好の動きが高まりました。豪ドルは追加利下げ観測などが重石となり、対円で下落しました。ユーロはほぼ横ばいでした。
商品 原油先物価格は、米中協議の進展期待を背景に米株式市場が上昇したことなどを受けて月間では上昇しました。一方、月末には石油輸出国機構(OPEC)による協調減産の強化に不透明感が漂ったことから下落したほか、香港を巡る情勢の悪化も重石となりました。

(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

2.景気動向

<現状>

米国の19年7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.1%となりました。在庫投資が速報値から上方修正されました。
欧州の19年7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.9%と、輸出環境の悪化を主因に2四半期連続で潜在成長率を下回りました。
日本の19年7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.2%でした。消費増税前の駆け込み需要が生じたものの、在庫と輸出が重石となりました。
中国の19年7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比+6.0%となり、前期の同+6.2%から減速しました。民間投資が下振れました。
豪州の19年4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+1.4%となりました。賃金の弱い伸びと住宅建設の急減速が国内消費を圧迫しました。

<見通し>

米国は、米中協議の部分合意へ向けた協議の進展や、在庫調整の一巡等から20年以降上向くと見られますが、持ち直しは緩やかになると予想します。
欧州は、中国経済の緩やかな減速などを背景に製造業の低迷が続くと見られますが、世界景気の回復とともにユーロ圏の製造業、輸出も安定化することが期待されます。ただし、新興国景気の弱さや欧州連合(EU)の環境規制、政治リスクなどを背景に回復ペースは⾮常に緩慢になると想定します。
日本は、低調な外部環境や消費増税などから緩慢な成長が続くと見られますが、政府による景気対策や人出不足対応の投資が下支えとなりそうです。
中国は、民間企業活動が低迷した状態が続くと見られますが、政府による財政政策と金融緩和が下支えとなりそうです。
豪州は、輸入の減少が成長率を支える要因になるものの、個人消費の回復の遅れや伸びが鈍い賃金などから緩やかな成長が続くと予想されます。輸出の伸びが⾼まりにくく、内需も⼒強さには⽋ける展開が⾒込まれる中、追加的な利下げ効果等により失速は避けられると想定します。

 

 

3.金融政策

<現状>

米連邦準備制度理事会(FRB)は、10月29-30日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利(FFレート)の誘導レンジを1.75~2.00 %から1.50~1.75%に引き下げました。声明文では、これまで先行きの利下げを示唆してきた「成長維持のため適切に行動する」という文言が削除され、今後の政策判断は、経済見通しに関する情報を注視するという表現にとどまりました。
欧州中央銀行(ECB)は、10月24日の理事会で金融政策の据え置きを決定しました。 
日銀は10月30-31日に開催した金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決定しました。一方、フォワードガイダンスを修正し、現行の金融政策を続ける期間について、「少なくとも2020年春頃まで」を、「物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれるおそれに注意が必要な間」に変更しました。

 <見通し>

FRBは、経済見通しに不確実性が高まった場合、追加緩和に踏み切る可能性がありますが、当面は現状の政策金利水準を維持すると見られます。
ユーロ圏では、成長率やインフレ率が低水準で推移する中、FRBが利下げに転換していること等からも追加利下げの必要性が高まっていると考えられます。
来年前半にかけて0.1%の追加利下げと債券購入の拡大を予想します。  
日本では、新たなフォワードガイダンスの下、海外情勢次第でマイナス金利深堀りを含めた追加緩和の可能性は残しているものの、円高や株安が加速しなければ当面現状の大規模緩和を維持するとみられます。

4.債券

<現状>

米国では、10年国債利回りが上昇しました。月初は米中協議の部分合意への期待が高まったことや、市場予想を上回る米経済指標などからリスク選好度が高まり、一時1.97%と約3カ月ぶりの高水準をつける場面がありました。その後は米中首脳会談の遅れの可能性や、香港の民主主義を支援する「香港人権・民主主義法」がトランプ米大統領による署名で成立したことで米中協議への影響が懸念されたことから上昇幅が縮小し、狭いレンジで推移しました。米国社債の米国債との利回り格差は縮小しました。  
欧州(ドイツ)の10年国債利回りや日本の10年国債利回りも、概ね米長期金利に連動し月初に上昇しましたが、その後は香港情勢の緊迫化などを受けて上昇幅が縮小しました。

<見通し>

米国では、米中協議の行方には不透明感があるものの、更なる激化につながるリスクは限定的とみられ、景気は緩慢ながら持ち直していく見通しです。FRBは政策金利を低水準で据え置くとみられ、金利は低レンジでの動向が続いた後、景気持ち直しと共に緩やかに上昇すると予想されます。
欧州では、来年前半までにECBによる追加緩和が見込まれるなど金融緩和策が続く見込みです。金利は低位での推移が続くと予想されますが、景気の下げ止まりや持ち直しが確認されれば緩やかにレンジを切り上げる可能性があります。  
日本では、日銀の足元の緩和政策が長期化する見通しの下で、長期金利はマイナス圏での推移が続くとみられます。

 

5.企業業績と株式

<現状>

S&P500種指数の11月の1株当たり予想利益(EPS)は177.29米ドルで、前年同月比の伸び率は+1.2%(前月同+1.0%)でした。一方、東証株価指数(TOPIX)の予想EPSは120.97ポイント(同▲9.3%)で、伸び率は10カ月連続のマイナスでした(いずれも予想はリフィニティブI/B/E/Sベース)。11月の米国株式市場は、米中協議の進展期待に加え、米国の耐久財受注の改善などマクロ統計の堅調さなどを背景に、主要3指標が史上最高値を更新する展開となりました。27日にトランプ米大統領が「香港人権・民主主義法案」に署名したことから、米中協議への悪影響が懸念され、月末はやや値を下げて引けました。S&P500種指数は前月比で+3.4%、NYダウが同+3.7%、ナスダック総合指数が同+4.5%でした。一方、日本株式市場も、米国株式市場が高値圏での推移となったことや円安・米ドル高が好感され、TOPIX、日経平均株価ともに年初来高値を更新する展開でした。TOPIXは前月比+1.9%、日経平均株価は同+1.6%でした。

<見通し>

S&P500種指数採用企業の予想EPS増益率は19年が前年比+1.1%(前月同+1.2%)、20年が同+9.9%(同+10.4%)と前月同様小幅な修正ですが、20年が1桁台の増益率の見通しとなりました(19年11月29日発表、リフィニティブI/B/E/Sベース)。一方、日本(TOPIX)の予想EPS増益率は19年が前年比+1.6%(前月同+3.4%)、20年が同+6.5%(同+5.1%)(東証一部、Bloomberg集計、19年11月29日現在)と20年は増益率の回復が見込まれています。米中協議の行方には不透明感があるものの、更なる激化につながるリスクは限定的とみられ、景気・業績は徐々に持ち直していく見通しです。日米株式市場は、共に緩やかに上昇すると予想されます。

 

6.為替

<現状>

円は対米ドルで下落しました。米中協議の進展期待が高まったほか、予想を上回る米経済指標などを受けてドル買い・円売りが優勢となりました。
円は対豪ドルで上昇しました。豪州準備銀行(RBA)による追加利下げ観測が豪ドルの重石となりました。  
円は対ユーロでほぼ横ばいでした。米中協議の進展期待を受けて米ドルが上昇し、対米ドルでユーロ売りが優勢となったことから対円でも下落傾向で推移しました。一方、月末には米休場を控えたポジション調整などにより、月間ではほぼ横ばいとなりました。

<見通し>

円の対米ドルレートは、米中協議の進展や米大統領選挙などの政治的な不透明感に加え、FRBの金融緩和継続が米ドルの上値を抑制すると見られます。一方、日米の金利差から見て大幅な円高になる可能性は低いと見られるため、102.50-110円程度のレンジでの推移を予想します。  
円の対ユーロレートは、欧州景気の低迷を背景にECBによる金融緩和策が強化される可能性や、イタリアなどユーロ加盟国の政局などがユーロの上値を抑えるものの、ユーロは底値圏にあると見られるほか、英国の合意なきEU離脱のリスクがやや緩和したことなどから110-130円のレンジでの推移が想定されます。
円の対豪ドルレートは、中国景気の底入れ期待が高まっていること等が支援材料となる一方、RBAによる追加利下げ観測などが上値を抑制すると見られ、当面もみ合いになると見られます。

7.リート

<現状>

グローバルリート市場(米ドルベース)は、米中協議が部分合意に達するとの期待感を背景にリスク選好度が高まり、月初に長期金利が上昇したこと等から、リート市場は下落傾向で推移しました。中旬から月末にかけては持ち直す場面があったものの、27日にトランプ米大統領が「香港人権・民主主義法案」に署名したことから米中協議への悪影響が懸念されやや値を下げ、月間では▲1.42%の下落となりました。一方、円ベースの月間変化率では、米ドル円レートが円安で推移したことから、同▲0.13%と小幅な下落にとどまりました。

<見通し>

グローバルリートのウェイトが高い米国リートは、上昇ペースが鈍化する見込みです。米中協議の進展には不透明感が残るものの更なる激化につながるリスクは限定的とみられ、米国景気は20年にかけて持ち直す見込みで、長期金利も緩やかに上昇圧力がかかる展開が予想されます。一方、分配金成長の視点から見ると、堅調さを維持する見通しです。また、金融市場に変調があった場面では、ディフェンシブ性が発揮されると見られます。

 

8.まとめ

債券 米国では、米中協議の行方には不透明感があるものの、更なる激化につながるリスクは限定的とみられ、景気は緩慢ながら持ち直していく見通しです。FRBは政策金利を低水準で据え置くとみられ、金利は低レンジでの動向が続いた後、景気持ち直しと共に緩やかに上昇すると予想されます。
欧州では、来年前半までにECBによる追加緩和が見込まれるなど金融緩和策が続く見込みです。金利は低位での推移が続くと予想されますが、景気の下げ止まりや持ち直しが確認されれば緩やかにレンジを切り上げる可能性があります。  
日本では、日銀の足元の緩和政策が長期化する見通しの下で、長期金利はマイナス圏での推移が続くとみられます。
株式 S&P500種指数採用企業の予想EPS増益率は19年が前年比+1.1%(前月同+1.2%)、20年が同+9.9%(同+10.4%)と前月同様小幅な修正ですが、20年が1桁台の増益率の見通しとなりました(19年11月29日発表、リフィニティブI/B/E/Sベース)。一方、日本(TOPIX)の予想EPS増益率は19年が前年比+1.6%(前月同+3.4%)、20年が同+6.5%(同+5.1%)(東証一部、Bloomberg集計、19年11月29日現在)と20年は増益率の回復が見込まれています。米中協議の行方には不透明感があるものの、更なる激化につながるリスクは限定的とみられ、景気・業績は徐々に持ち直していく見通しです。日米株式市場は、共に緩やかに上昇すると予想されます。
為替 円の対米ドルレートは、米中協議の進展や米大統領選挙などの政治的な不透明感に加え、FRBの金融緩和継続が米ドルの上値を抑制すると見られます。一方、日米の金利差から見て大幅な円高になる可能性は低いと見られるため、102.50-110円程度のレンジでの推移を予想します。  
円の対ユーロレートは、欧州景気の低迷を背景にECBによる金融緩和策が強化される可能性や、イタリアなどユーロ加盟国の政局などがユーロの上値を抑えるものの、ユーロは底値圏にあると見られるほか、英国の合意なきEU離脱のリスクがやや緩和したことなどから、110-130円のレンジでの推移が想定されます。
円の対豪ドルレートは、中国景気の底入れ期待が高まっていること等が支援材料となる一方、RBAによる追加利下げ観測などが上値を抑制すると見られ、当面もみ合いになると見られます。
リート グローバルリートのウェイトが高い米国リートは、上昇ペースが鈍化する見込みです。米中協議の進展には不透明感が残るものの更なる激化につながるリスクは限定的とみられ、米国景気は20年にかけて持ち直す見込みで、長期金利も緩やかに上昇圧力がかかる展開が予想されます。一方、分配金成長の視点から見ると、堅調さを維持する見通しです。また、金融市場に変調があった場面では、ディフェンシブ性が発揮されると見られます。
  ※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。