マーケットレポート

MARKET REPORT

人民元安をきっかけに金融市場の変動拡大
人民元の動向と9月の米中協議に注目

2019年08月06日

【ポイント1】中国の対決姿勢を見て大きく動いた金融市場

■5日の金融市場は再度大きな変動に見舞われました。株式は世界的に大きく下落し、長期金利は低下、通貨は円高が進み、新興国通貨は調整しました。

■この要因は、中国政府が先週の米国の「対中制裁関税第4弾」の圧力に屈しないとの見方が市場で支配的になったためです。市場参加者が注目したのが人民元の動きと中国による米農産物輸入停止の動きです。

【ポイント2】人民元は下落、中国は米農産物の輸入を停止

■5日、人民元が急落し、これまで中国政府にとっての防衛ラインと見られていた1ドル=7元を割れました。中国人民銀行は5日の朝方、人民元の基準値を前週末終値よりも元高の6.9225元に設定したため意図的な通貨切り下げではないと考えられますが、米中対立の激化を受けて人民元への売り圧力が高まる中、中国当局が元安を容認したとの見方が市場では一般的となりました。

■なお、トランプ政権はこの人民元の動きを批判的に受けとめています。米財務省は中国を経済制裁の対象となる「為替操作国」に指定しました。米側は新たな交渉カードを切った形です。

■一方、中国は米農産物の輸入を一時停止したと発表しました。トランプ政権が「対中制裁関税第4弾」発表の根拠の一つとして、中国が約束した米農産物の輸入を実施していないことをあげているため、これも中国政府のトランプ政権への対決的な意思表示と見られます。

【今後の展開】人民元の動向と9月の米中協議に注目

■トランプ大統領の「対中制裁関税第4弾」の表明とそれに対する中国側の対決的な反応により、7月まで市場で高まっていた事態の安定化の期待は裏切られました。但し、米国では景気減速を示唆する経済指標が出ており、中国もこれ以上の景気減速は避けたいのが本音と思われます。また、大幅な人民元安は資本流出を通じて中国経済へのダメージにつながります。これらは両国に妥協の必要性を認識させる要因となりえます。

■中長期的には米中間の協議が継続し、今後、両者が折り合える妥協点を探る作業が行われると見られます。短期的には、中国にとって資本流出による経済へのダメージのリスクを伴う人民元相場が安定するかどうかや、9月にワシントンで開かれる予定の次回米中閣僚級協議が予定通り開催されるかどうかに注目が集まると考えられます。