ホームマーケット日々のマーケットレポート日本の毎月勤労統計(2016年3月) 実質賃金が5年半ぶりの高い伸び:今後の消費を下支え/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

日本の毎月勤労統計(2016年3月)
実質賃金が5年半ぶりの高い伸び:今後の消費を下支え 【デイリー】

2016年5月10日

【ポイント1】実質賃金が1.4%増

名目賃金も1.4%増

■厚生労働省が5月9日に発表した3月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によれば、物価の変動を考慮した「実質賃金」は前年同月比で1.4%増となりました。2カ月連続でプラスとなり、伸び率が一段と高まりました。2010年9月以来5年半ぶりの高水準です。

■名目賃金にあたる現金給与総額は27万8,501円と、同1.4%増となり、2014年7月以来の伸び率でした。3月は基本給などの所定内給与は同0.4%増でしたが、一部企業のボーナスなど特別に支払われた給与が同19.8%増となり、賃金を押し上げました。

【ポイント2】物価の伸び鈍化も寄与

実質賃金はプラス推移の見通し

■実質賃金を計算する消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は同0.0%となり、伸び率が鈍化しました。これまで上昇していた物価が横ばいになったことも実質賃金の押し上げに寄与しています。

■消費者物価(生鮮食品除く)は当面マイナス圏で横ばいの見通しです。賃金の伸びが物価を上回る状況となり、実質賃金はプラス圏で推移することになりそうです。

【今後の展開】実質賃金が個人消費を下支え、追加景気対策を期待

■実質賃金の伸び率プラスは、個人消費を下支えすると期待されます。ただし、連合(日本労働組合総連合会)の調査によれば、今年の春闘でのベースアップ(基本給の賃上げ率)は0.4%と、賃上げ率が前年(0.7%)を下回るもようです。

■安倍政権は経済の好循環に向け、企業にベースアップを含む賃上げを求めていますが、所定内給与の伸びは引き続き小幅なものにとどまりそうです。個人消費に力強さを求めにくい状況です。政府、日銀の政策対応が株式市場の焦点になりそうです。

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