マーケットレポート

MARKET REPORT

メキシコへの追加関税と米国株式市場
追加関税が米国の消費、企業業績に与える影響に注目

2019年06月03日

【ポイント1】貿易摩擦拡大懸念から下落幅拡大

年初来高値から6~9%の調整

■米国株式市場は、米中貿易摩擦の再燃に加え、トランプ大統領がメキシコに追加関税を課す方針を示したことで貿易摩擦の拡大が警戒されたほか、中国製造業購買担当者景気指数(PMI)の悪化、原油価格の下落、長短金利の逆転などの要因が重なって下落に拍車がかかりました。年初来高値から5月31日までの下落率はS&P500種指数が▲6.6%、主要セクターの年初来高値からの下落率は「情報技術」が▲9.1%、「電気通信」が▲8.4%、「一般消費財」が▲8.2%、「金融」が▲7.5%となりました。

【ポイント2】メキシコへの追加関税を今月10日に発動予定

■5月30日にトランプ大統領が、メキシコからの不法移民対策の強化を迫るために、メキシコからの全輸入品に対して追加関税を課すことを表明しました。内容は、6月10日から5%の上乗せ関税を適用し、メキシコ政府が対策を講じない場合は税率を毎月5%ずつ引き上げ、7月1日以降10%、8月1日以降15%、9月1日以降20%、10月1日以降は25%とする方針です。

■米国の輸入に占めるシェアは13.4%と中国に次いで2番目です。主要品目では自動車が約31%、農産物・畜産物が約21%と大きなシェアを占めます。関税の引き上げは、メキシコからの輸入品の価格上昇圧力につながり、販売価格に転嫁されれば米国の消費者の購買力を抑制し、転嫁されなければ、米国企業の収益を圧迫する要因となります。

【今後の展開】追加関税が米国の消費、企業業績に与える影響に注目

■弊社の試算では、メキシコへの5%の関税上乗せ分を生産者が価格にフル転嫁した場合、米国の生産者価格が0.09%押し上げられます。税率が25%まで引き上げられれば0.45%です。また、中国への輸入品2,000億米ドルに対する25%の追加関税で米国の生産者価格は0.33%押し上げられることになり、中国からのすべての輸入品に25%の関税がかけられれば、生産者価格は0.69%押し上げられると試算されます。以上から、生産者価格は今後最大で1.14%程度の上昇が予想されます。どの程度、販売価格に転嫁されるかにもよりますが、米国の消費動向や米国企業の収益に与える影響を見極める必要がありそうです(以上の追加関税の波及効果はWorld Input-Output Database(2014)を基に弊社試算)。

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