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11月分機械受注について

2015年1月15日

― 11月分機械受注(除船電民需)前月比+1.3%と2カ月ぶりの増加 ―
― 内閣府判断「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正 ―

●11月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+1.3%と2カ月ぶりの増加になったが、10月分が前月比▲6.4%だったことからみて小幅な伸びにとどまったと言える。また、11月分機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲14.6%と2カ月連続で減少した。

●大型案件は前回10月分に引き続き、今回もなかった。除船電民需以外では、運輸業・郵便業の船舶が1件、官公需で船舶と電子計算機が各々1件、外需で火水力原動機1件の合計で4件があった。なお、外需の大型案件は10月分の2件から減少した。

●10~12月期の機械受注(除船電民需)の見通しは前期比▲0.3%と減少であるが、達成のためには12月分の前月比が+6.5%伸びることが必要でハードルは高くなった。0.0%になるためには12月分の前月比が+7.2%伸びることが必要だ。

●内閣府の基調判断は、1月分までの「機械受注は、増加傾向にある」から、2月分では「機械受注は、増加傾向に足踏みがみられる」に1年4カ月ぶりに下方修正された。3月分では2カ月ぶりの上方修正で「機械受注は、増加傾向にある」に戻した。4月分では判断を据え置いた。しかし、5月分では「機械受注は、増加傾向に足踏みがみられる」に再び下方修正された。6月分では「機械受注は、一進一退で推移している」に2カ月連続で下方修正され、7月分では「機械受注は、一進一退で推移している」に判断据え置きとなった。8月分では「機械受注は、緩やかな持ち直しの動きがみられる」と5カ月ぶりの上方修正になり、9月分・10月分では据え置きとなっていたが、今回11月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」に3カ月ぶりに下方修正された。

●11月分で内閣府の基調判断が下方修正された背景に多くの業種が前月比減少となったことが挙げられる。11月分の製造業の前月比は▲7.0%と2カ月連続の減少となった。製造業15業種中、4業種が増加で11業種が減少になった。また、11月分の非製造業(除船電民需)の前月比は+0.5%と2カ月ぶりの増加となったが、非製造業全体では、前月比は▲11.4%と2カ月連続の減少となった。電力業は前月比▲21.2%の減少となった。非製造業12業種中、3業種が増加で9業種が減少となった。

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注の11月分は前月比▲11.6%と3カ月ぶりの減少になった。しかも大幅な減少である。7~9月期の前期比は+3.6%の増加で2四半期連続の増加となっていたが、10~12月期が前期比0.0%になるためには12月分の前月比が+5.5%伸びることが必要になった。また、見通しの前期比+18.2%達成のためには12月分の前月比が+63.5%伸びることが必要で、見通しを大きく下回ることは確実になってしまった。11月はGDPが2四半期連続マイナス成長となったことが判明した月で、人々の心理面を悪化させた可能性が大きいと各種調査から推察されるが、機械受注統計にもその影響が出てしまったことを窺わせる数字である。

●11月分の外需は、大型案件の数が10月分から半減した影響もあり前月比が▲6.0%と3カ月連続の減少となった。

●11月分景気動向指数・CI改定値で新たに改定値から加わる系列として、先行系列では実質機械受注がある。前月差寄与度は+0.02程度のプラス寄与になり、他の系列が速報値と変わらないとすると先行CI・改定値の前月差は▲0.6程度の下降と速報値の▲0.7からやや上方修正になると予測する。また、先行DIは、実質機械受注がマイナス符号で加わるので、50.0%程度へと速報値の55.6%から下方修正になると予測する。