ホームマーケット経済指標解説14年10~12月期実質GDP(第1次速報値)について

14年10~12月期実質GDP(第1次速報値)について

2015年2月16日

●14年10~12月期実質GDP成長率第1次速報値は前期比+0.6%、前期比年率+2.2%と3四半期ぶりのプラス成長になった。成長率がプラスになるのは、昨年4月に消費税率を引き上げてから初めてのことになる。

●民間エコノミストのコンセンサス調査であるESPフォーキャスト調査・2月調査では14年10~12月期実質GDP成長率の平均予測値は前期比年率+3.86%で、低い方の8人の予測平均値は+2.63%だった。今回の+2.2%という結果は低い方の予測平均値を下回る伸び率だった。

●10~12月期第1次速報値が予測より下振れした主因は、GDPの約6割を占める個人消費が+0.3%だったことだろう。GDP統計の実質個人消費とほぼ同じ伸び率となる消費総合指数の10~12月期の前期比は2月13日に公表されたが+0.7%の増加であった。7~9月期第1次速報値で実質個人消費前期比+0.4%と、11月12日に発表された類似統計である消費総合指数7~9月期の前期比+0.7%より0.3ポイントも低い異例の事態となったが、今回10~12月期第1次速報値では実質個人消費前期比+0.3%で消費総合指数の前期比+0.7%より0.4ポイントも低くなるという超異例の事態となった。前期比年率だと、+2.7%と+1.1%でその差が1.6ポイントある。実質GDPに対する寄与度は前期比年率約+1%にもなる。リーマンショックが発生してから約6年半が経ち季節調整をかけ直すことで、10~12月期の伸び率が低めに出やすいのであろう。こうした現象は他の系列でも生じていると想像される。GDPの結果はある程度幅を持ってみる必要があろう。

●10~12月期の名目GDP成長率は前期比+1.1%、前期比年率+4.5%と、こちらは2四半期ぶりの前期比プラス成長になった。

●約6割のウエイトがある最大の需要項目の実質個人消費の10~12月期は前期比+0.3%で2四半期連続の増加となった。実質雇用者報酬は前期比+0.1%で2四半期連続の増加となった。実質個人消費の内訳をみると、耐久財の前期比は+0.7%と3四半期ぶりの増加になった。携帯電話やパソコンなどが増加したようだ。半耐久財の前期比は▲0.4%で2四半期ぶりの減少になった。非耐久財の前期比は+0.5%で2四半期連続の増加になった。サービスの前期比は+0.5%で、3四半期ぶりの増加になった。

●設備投資は+0.1%の増加、パソコンなど電子通信機器が増えたようだ。 住宅投資は▲1.2%の減少、駆け込み需要の反動減が続いている。公共投資は+0.6%の増加だった。外需(純輸出)の前期比寄与度は+0.2%と3四半期連続のプラス寄与になった。

●実質輸出は前期比+1.3%と2四半期ぶりのプラスになった。サービスに関しては、前期比▲0.3%と4四半期ぶりの減少だったが、財は前期比+1.6%と2四半期ぶりに増加した。実質輸入の前期比は+2.7%と2四半期連続の増加になった。財に関しては前期比+2.9%、サービスは前期比+1.8%の増加だった。交易利得の前期比寄与度は+0.2%で2四半期ぶりのプラスだった。実質GDIの前期比は+0.8%と3四半期ぶりのプラスになった。

●民間在庫投資の実質・前期比寄与度は+0.2%だった。内訳をみると流通在庫だけがプラス寄与で、残りは全ての系列で僅かなマイナス寄与だったようだ。

●10~12月期のGDPデフレーターの前年同期比は+2.3%で、4四半期連続プラスの伸び率になった。1~3月期は+0.1%、4~6月期以降は+2%台で消費税率引き上げの影響が大きい。国内需要デフレーターの前年同期比は+2.0%だった。また、10~12月期の季節調整済み前期比でみると、GDPデフレーターは+0.5%で2四半期ぶりのプラス、国内需要デフレーターの前期比は+0.3%で6四半期連続の上昇だった。

●14暦年の実質GDP成長率は0.0%、名目GDP成長率は+1.7%となった。暦年GDPの名実逆転の解消は97年以来である。

●14年度実質GDP成長率の政府経済見通しは▲0.5%だが、5月に発表される数字での達成はかなりハードルが高くなったのかもしれない。残りの前期比がゼロだと14年度の実質GDP成長率は▲1.0%とマイナス成長になってしまう。14年度の四半期の前期比が+2.0%(年率8%の高成長)で見通しの▲0.5が達成される。残り1四半期の前期比が+4.0%でも▲0.0%のマイナス成長である。

●3月9日に発表される10~12月期第2次速報値では3月1日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資や在庫投資などを中心に改定されるので、法人企業統計の内容が注目される。

●10~12月期GDP第1次速報値では供給サイドのデータから算出した名目設備投資の前年同期比は+0.5%の増加で、7~9月期の0.0%から0.5ポイント改善している。なお、法人企業統計の類似データと言われている建設物価調査会・設備投資調査(土地・ソフトウエア除く)(調査時点12月1日)の発表が遅れている。本日電話で確認したところ来週半ばまでには公表したいとのことだ。

●法人企業統計では在庫投資の伸び率は名目の前年同期比で発表される。GDPの第1次速報値では仕掛品在庫、原材料在庫が仮の数字で前年同期比寄与度はプラスだったようなので、どのように変わるかが注目される。なお、10~12月期第1次速報値の在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.3%であった。仮置きの原材料在庫がほぼ横ばいレベルのマイナス寄与、残りの製品在庫、流通在庫、仕掛品在庫は前年同期比プラス寄与だった模様だ。