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10~12月期法人企業統計・設備投資などについて

2015年3月2日

◎ 10~12月期設備投資(除くソフトウェア)前期比+0.6%、2四半期連続の増加に。

◎ 10~12月期実質GDP第2次速報値、設備投資は変わらず、在庫投資やや下方修正か。

●10~12月期の法人企業統計調査(速報値)の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+3.9%と4~6月期の前年同期比+5.6%からは1.7ポイント鈍化したが、7四半期連続の増加になった。また、ソフトウェア投資額を含むベースでは10~12月期の全産業の前年同期比は+2.8%だった。7~9月期の前年同期比+5.5%からは2.7ポイント鈍化した。資本金1000万円以上1億円未満の前年同期比は▲4.4%で、7~9月期の前年同期比+8.6%からは13.0ポイント悪化した。資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は+15.3%で、7~9月期の前年同期比+17.7%からは2.4ポイント鈍化した。資本金10億円以上の前年同期比は+3.0%と2四半期連続の増加で、7~9月期の前年同期比+0.8%からは2.2ポイントの改善となった。大企業は伸びを高め、中小企業は鈍化したかたちだ。10~12月期の季節調整済み前期比(ソフトウェア投資額を除くベース)は+0.6%で2四半期連続の増加になった。

●供給サイドのデータから算出した10~12月期GDP第1次速報値では名目設備投資の前年同期比は+1.9%の増加で、7~9月期の+2.7%から0.8ポイント鈍化している。名目設備投資10~12月期の前期比は+0.5%の増加で、7~9月期の0.0%から0.5ポイント改善している。法人企業統計の季節調整済み前期比(ソフトウェア投資額を除くベース)はこれと同程度の+0.6%の伸び率だ。但し、断層補正をおこなうと伸び率は低めになりそうだ。第2次速報値で加わる、法人企業統計調査のデータは若干の下方修正要因になってしまいそうだ。一方、12月確報分が反映されるソフトウェア開発・プログラム作成は上方修正要因になりそうだ。また、個人企業経済調査のデータも若干の上方修正要因になりそうだ。総合的に判断して、第2次速報値での実質ベースの設備投資の前期比は第1次速報値の+0.1%と同程度と予測する。

(在庫投資)

●法人企業統計の仕掛品在庫をみると14年10~12月期は3兆6464億円で13年10~12月期の2兆8957億円から7507億円の増加となった。原材料在庫は▲4244億円と13年10~12月期の8192億円から▲1兆2436億円の減少となった。合わせて▲4929億円、前年同期に比べ減少した。一方、14年10~12月期GDP第1次速報値の名目在庫投資・原数値は1兆0236億円で13年10~12月期の6235億円より4001億円の増加であった。14年10~12月期第1次速報値の在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は+0.3%であった。内訳をみると仮置きの原材料在庫がほぼ横ばいレベルのマイナス寄与、残りの製品在庫、流通在庫、仕掛品在庫は前年同期比プラス寄与だった模様だ。法人企業統計の発表を受けて仕掛品在庫、原材料在庫の数字が置き換わる14年10~12月期GDP第2次速報値段階では、原材料在庫がマイナス寄与に転じるとみられ、名目在庫投資は第1次速報値から下方修正になるとみる。

●第1次速報値段階で実質在庫投資の前期比寄与度は+0.2%であった。内訳をみると流通在庫だけがプラス寄与で、残りは全ての系列で僅かなマイナス寄与だったようだ。第2次速報値段階で実質在庫投資の前期比寄与度は若干下方修正されるとみた。

(10~12月期実質GDP・第2次速報値)

●10~12月期の実質GDP第2次速報値が法人企業統計の発表を受けて改定される部分に関しては、設備投資は前期比+0.1%程度と第1次速報値と同程度になるとみた。また、法人企業統計により在庫投資は若干下方修正され前期比寄与度は+0.1%程度になるとみた。また、公共工事出来高の前年同月比は10月分+5.1%、11月分+3.5%だったが、12月分の伸び率は10~11月分の前年比より若干低い+3.7%だった。このことからみて第2次速報値での公共投資の前期比は第1次速報値から僅かに下方修正されるとみた。

●総合的に判断すると10~12月期実質GDP第2次速報値は前期比+0.5%程度、前期比年率+1.9%程度と、第1次速報値前期比+0.6%、前期比年率+2.2%からやや鈍化すると予測する。