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2月分全国消費者物価指数について

2015年3月27日

―エネルギー価格下落等でコア前年同月比+2.0%、増税除くベースでゼロに―
―3月分東京都区部・コア前年同月比+2.2%で3カ月連続変わらず―

●2月分の全国消費者物価指数・総合指数は2010年を100とした指数が、102.9となり、前月比は▲0.2%下落した。総合指数の前年同月比は+2.2%の上昇となった。1月分の+2.4%から0.2ポイント鈍化したが、前年同月比は96年10月から98年6月にかけて21カ月連続で上昇して以来、16年8カ月ぶりの21カ月連続上昇となった。

●生鮮食品の前年同月比は+5.3%の上昇だった。1月分は+5.7%の上昇だったので、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%とマイナスになった。また、エネルギー全体の前年同月比は▲2.1%下落した。1月分は▲0.5%の小幅の下落だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.15%の押下げ要因になった。総合指数の前年同月比では生鮮食品もエネルギーも下落に寄与した格好だ。

●2月分の宿泊料は前年同月比+8.6%で、1月分の前年同月比+6.2%から伸び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%の押し上げ要因になった。1月分は前年同月比+2.5%の上昇だった外国パック旅行は、2月分では同+3.0%へ伸び率がやや上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。

●原油価格の下落がガソリンや灯油などの石油製品に影響している。ガソリンの前年同月比は12月分で▲2.5%の下落と19カ月ぶりの下落となった後、前回の1月分で▲11.1%の2ケタの下落になった。今回2月分では▲15.4%になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.12%だった。灯油の前年同月比は12月分で▲3.4%の下落と28カ月ぶりの下落となった後、1月分で▲15.3%の2ケタの下落になった。今回2月分では▲21.6%になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.04%だった。但し、過去のLNG価格が上昇していたことから、電気代の前年同月比は+7.3%で、1月分の上昇率+6.9%より伸び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%と押し上げ要因だった。都市ガス代の前年同月比は+7.2%となった。1月分の上昇率+5.9%より伸び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%と押し上げ要因だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は2月分では前年同月比▲1.5%と1月分の▲0.1%から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。そのうちテレビは1月分の前年同月比+1.2%から2月分は+0.2%と上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。また、家庭用耐久財は全体で前年同月比▲4.6%で、1月分の前年同月比▲0.5%から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.04%だった。

●全国消費者物価指数・総合指数・前年同月比に対する財とサービスの1月分から2月分への寄与度差をみると、財は▲0.23%、生鮮食品を除く財でも▲0.21%とマイナスになった。一方、雇用環境が改善基調にあり、春闘での賃上げ実施が期待される中、サービスの総合指数・前年同月比に対する寄与度差は+0.03%とプラスである。

●2月分の生鮮食品を除く総合指数は2010年を100とした指数は102.5で、前月比▲0.1%の下落、前年同月比は+2.0%の上昇となった。1月分の+2.2%から0.2ポイントの鈍化となった。前年同月比の伸びが縮まるのは7カ月連続だ。なお、前年同月比は21カ月連続で上昇した。21カ月連続でのプラスは96年4月から98年4月にかけて25カ月連続で上昇して以来16年10カ月ぶりのことである。増税分を除いたベースの前年同月比は0.0%になった。

●2月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は100.3となり、前月比+0.1%の上昇、また前年同月比は+2.0%の上昇となった。1月分の+2.1%から0.1ポイントの鈍化となった。前年同月比は17カ月連続上昇した。17カ月連続前年同月比がプラスなのは98年8月まで長期にわたって連続で上昇していた時以来で、16年6カ月ぶりである。

●日銀の14年3月の金融経済月報の最後に掲載された試算結果を使って、14年4月分~15年2月分の全国消費者物価指数の実績値「除く増税分ベース」を計算してみると、総合が+1.5%から+1.6%に上昇した後+1.5%、+1.4%、+1.2%、+1.1%、+0.8%、+0.3%、+0.3%、+0.3%、+0.1%に鈍化。生鮮食品を除く総合は+1.5%、+1.4%、+1.3%と鈍化した後いったん+1.3%と同じ上昇率になり、再び鈍化し+1.1%、+1.0%、+0.9%、+0.7%、+0.5%、+0.2%のあと、2月分で0.0%になった。食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合は+0.8%から+0.5%に鈍化した後+0.6%となり、7月分・8月分・9月分がともに+0.6%の上昇率だったが、10月分で+0.5%、11月分で+0.4%、12月分で+0.4%、1月分で+0.4%、2月分で+0.3%となっている。

●総合指数の季節調整済み指数は2月分が103.2で前月比▲0.1%の下落。生鮮食品を除く総合指数の季節調整済み指数は2月分が102.9で前月比▲0.1%の下落だった。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の季節調整済み指数2月分は100.7で前月比+0.1%の上昇となった。11月・12月分と2カ月連続前月比+0.1%と上昇基調のあと1月分で前月比▲0.2%と3カ月ぶりに下落したコアコアの部分の物価は2カ月ぶりに上昇に転じた。

●ESPフォーキャスト調査・3月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の予測平均値は、15年1~3月期は+2.26%で、14年4~6月期の+3.3%をピークにして上昇率が鈍化している。14年度は+2.86%という予測平均値となっている。消費増税の影響を除いたベースでは、15年1~3月期+0.25%と0%に近い伸び率という見通しとなっている。消費増税の影響を除いたベースの14年度の上昇率は+0.92%という予測平均値となっている。15年4~6月期は+0.16%(消費増税の影響を除いたベースで0.14%)のあと7~9月期も+0.16%と、ここまで伸び率は弱含むという平均的な見通しである。その後前年同期比の予測平均値は上昇に転じ、10~12月期は+0.50%、16年1~3月期は+0.93%と上昇していく見込み。15年度の上昇率は+0.43%だ。なお、原油価格(WTI)の予測平均値は15年56.39ドル/バレル、円相場の予測平均値は15年度1ドル=121円47銭となっている。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算で14年10~12月期は▲2.3%と、7~9月期の▲2.6%からマイナス幅が若干縮小した。今後、需給ギャップの改善基調が見込まれるので、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の前年同月比の上昇要因、生鮮食品を除く総合指数の前年同月比の下支え要因になると思われる。

3月分の暫定的予測

●3月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は、2月分の+2.2%から若干上昇し、+2.3%程度の伸び率になると予測する。これで22カ月連続の前年同月比上昇となるとみた。22カ月連続前年同月比がプラスなのは95年3月まで長期にわたって連続で上昇していた時以来で、20年ぶりだ。前月比は+0.4%程度とみる。
●3月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は、2月分の+2.0%から上昇し、+2.2%程度の伸び率になると予測する。なお、96年4月から98年4月にかけて25カ月連続で上昇して以来16年11カ月ぶりに、22カ月連続で前年同月比プラスになろう。前月比は+0.5%程度になろう。3月分が予測通りだと消費増税分を除くと前年同月比は+0.1%程度であり、2月分のゼロからプラスの伸び率に戻ることになる。エネルギーは前年同月比の上昇に寄与しよう。

●また、3月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同月比は、2月分の+2.0%から若干上昇し、+2.1%程度になると予測する。前年同月比は98年8月までの連続上昇以来、16年7カ月ぶりの18カ月連続プラスになりそうだ。前月比は+0.4%程度になろう。

●関連データである3月分の東京都区部消費者物価指数では、総合の前年同月比は+2.3%と1月分・2月分と同じ伸び率で、21カ月連続の上昇になった。生鮮食品の前年同月比は+5.3%の上昇と2月分の同+4.5%から上昇した。生鮮食品の総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%になり前年同月比の押し上げの主因になった。エネルギー全体の前年同月比は+4.3%となり2月分の+3.8%から伸び率を高め、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%になった。ガソリンは2月分では前年同月比▲15.4%だったが3月分では同▲12.7%と下落幅が縮小し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%になった。一方、電気代の前年同
月比は+7.2%で2月分の同+7.4%からやや鈍化したが、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。

●また、3月分ではテレビの前年同月比は+0.1%。2月分同+1.4%から上昇率が鈍化し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%になった。3月分の宿泊料は前年同月比+8.0%で、2月分の前年同月比+8.6%から伸び率がやや鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%になった。3月分の消費者物価指数・総合の東京都区部(速報)の前月比は+0.4%だった。一方、大阪市の総合3月分前年同月比は+2.3%と2月分の+2.1%から0.2ポイントの上昇だった。これで22カ月連続の上昇になった。3月分の前月比は+0.4%だった。

●3月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+2.2%で1月分・2月分と同じ伸び率だった。これで、23カ月連続の上昇になった。3月分の前月比は+0.5%で2カ月連続の上昇だった。大阪市の生鮮食品を除く総合の3月分前年同月比は+2.2%で1月分の+2.1%から上昇し、23カ月連続の上昇になった。3月分の前月比は+0.4%だった。

●東京都区部(速報)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の3月分前年同月比は+1.7%で1月分・2月分と同じ伸び率だった。これで、17カ月連続の上昇になった。3月分の前月比は+0.5%で2カ月連続の上昇だった。大阪市では3月分の前年同月比は+1.8%と2月分の+1.9%から0.1ポイント鈍化したが、これで18カ月連続の上昇になった。3月分の前月比は+0.3%だった。