ホームマーケット経済指標解説2月分景気動向指数(速報値)

2月分景気動向指数(速報値)

2015年4月6日

-先行CI前月差▲0.2で2カ月連続の下降、一致CI前月差▲2.8で3カ月ぶりの下降-
-基調判断「改善を示している」で据え置き-

●2月分景気動向指数・速報値では、先行CIは前月差▲0.2と2カ月連続の下降になった。2月分の先行CIの指数水準は105.3だ。
●一致CIは前月差▲2.8と3カ月ぶりの下降になった。2月分の一致CIの指数水準は110.5である。東日本大震災発生時のボトムで直近のボトムである11年3月分の96.7よりは13.8ポイント高い水準だが、直近のピークである14年1月分・3月分の114.5よりは4.0ポイント低い水準だ。一致CIの3カ月後方移動平均の前月差は+0.34と6カ月連続の上昇、7カ月後方移動平均の前月差は+0.09と2カ月連続の上昇になった。
●一致CIを使った景気の基調判断をみると、13年7月分で景気の基調判断が、「上方への局面変化」から景気拡張の可能性が高いことを示す「改善を示している」に上方修正された後、13年8月分~14年3月分では景気の基調判断は一番良い判断の「改善を示している」で据え置きだった。4月分で「足踏みを示している」に下方修正になり、5月分・6月分・7月分でも「足踏みを示している」に据え置きだった。しかし、8月分で「下方への局面変化」に下方修正され、9月分・10月分・11月分と同じ「下方への局面変化」で据え置きだった。12月分で、「改善を示している。ただし、基調判断に用いている3カ月後方移動平均のこのところの変化幅は、大きいものではない」に上方修正された。「改善を示している」に「下方への局面変化」から戻るのは異例のパスということだった。前回1月分では、但し書きは消えて、「改善を示している」という判断継続になった。今回2月分でも、「改善を示している」という判断継続になった。

●恣意性がない機械的な景気の基調判断で、3カ月連続で「改善」が続くことは、人々の悲観的なマインドや不透明なマインドを徐々に明るくさせる材料と言えよう。
●次回3月分も「改善」の可能性が大きいとみられる。万一、機械的な景気の基調判断が、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」に下方修正されるためには、前月差が下降し、かつ3カ月後方移動平均の符号が変化し、1カ月、2カ月、または3カ月の累積で1標準偏差分(0.99)以上逆方向に振れることが必要だ。次回、3月分でこの条件を満たすためには、過去の数字が不変として、前月差▲2.6ポイント以上、下降することが必要である。
●今回2月分速報値では先行DIは55.6%と2カ月連続景気判断の分岐点である50%を上回った。なお、このところ長短金利差は10カ月連続してマイナスだが、これは日銀の金融政策の影響が大きいだろう。また、一致DIは77.8%で6カ月連続して景気判断の分岐点である50%を上回るという明るい結果になった。
●2月分景気動向指数・改定値では、新たに加わる所定外労働時間指数の前月差寄与度が▲0.10程度の寄与になるとみる。一致系列では生産関連指標などの確報値が速報値と変わらないとすると、一致CI・改定値の前月差は▲2.9程度と速報値時点の前月差▲2.8の下降から下方修正になると予測する。また、一致DIは所定外労働時間指数がプラス符号で加わり、80.0%程度と速報値の77.8%から上方修正になると予測する。
●先行CIでは新たに加わる実質機械受注の前月差寄与度が+0.02程度の寄与になるとみる。在庫率関連データなどが速報値段階と確報値段階とで数字が変わらないと仮定すると、先行CI・改定値の前月差は▲0.2程度の下降と速報値の前月差▲0.2の下降と変わらないと予測する。また、先行DIでは実質機械受注がプラス符号で加わり、60.0%程度と速報値の55.6%から上方修正になると予測する。

●3月分の先行CIの採用系列で、現時点で数値が判明しているのは、日経商品指数、長短金利差、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。このうち長短金利差、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列が前月差プラス寄与に、日経商品指数1系列がマイナス寄与になることが判明している。残りの5系列次第ではあるが、3月分の先行CI前月差は3カ月ぶりに上昇する可能性が大きそうだ。
●また、3月分の先行DIでは、現時点で数値が判明している4系列のうち、長短金利差、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列がプラス符号に、日経商品指数1系列がマイナス符号になることが判明している。このため2月分先行DI速報値は、33.3%以上88.9%以下が確定している。これから発表される残りの5系列中プラス符号が2系列になれば、3カ月連続して景気判断の分岐点である50%を上回ることになろう。