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4月分景気動向指数(速報値)

2015年6月5日

-先行CI前月差+1.2で2カ月連続の上昇、一致CI前月差+1.9で3カ月ぶりの上昇-
-基調判断「改善を示している」で据え置き-

●4月分景気動向指数・速報値では、先行CIは前月差+1.2と2カ月連続の上昇になった。4月分の先行CIの指数水準は107.2だ。

●一致CIは前月差+1.9と3カ月ぶりの上昇になった。4月分の一致CIの指数水準は111.1である。東日本大震災発生時のボトムで直近のボトムである11年3月分の96.7よりは14.4ポイント高い水準だが、直近のピークである14年3月分の114.3よりは3.2ポイント低い水準だ。一致CIの3カ月後方移動平均の前月差は▲0.74と2カ月連続の下降に、7カ月後方移動平均の前月差は+0.07と3カ月ぶりの上昇になった。

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、13年7月分で景気の基調判断が、「上方への局面変化」から景気拡張の可能性が高いことを示す「改善を示している」に上方修正された後、13年8月分~14年3月分では景気の基調判断は一番良い判断の「改善を示している」で据え置きだった。4月分で「足踏みを示している」に下方修正になり、5月分・6月分・7月分でも「足踏みを示している」に据え置きだった。しかし、8月分で「下方への局面変化」に下方修正され、9月分・10月分・11月分と同じ「下方への局面変化」で据え置きだった。12月分で、「改善を示している。ただし、基調判断に用いている3カ月後方移動平均のこのところの変化幅は、大きいものではない」に上方修正された。「改善を示している」に「下方への局面変化」から戻るのは異例のパスということだった。1月分で、但し書きは消えて、「改善を示している」という判断継続になった。2月分・3月分に続き今回4月分でも、「改善を示している」という判断継続になった。

●恣意性がない機械的な景気の基調判断で、5カ月連続で「改善」が続くことは、人々の景気に関する悲観的な見方を徐々に払拭させる材料と言えよう。

●次回5月分は微妙だが「改善」となる可能性の方が大きいと考える。機械的な景気の基調判断が、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」に下方修正されるには、前月差が下降し、かつ3カ月後方移動平均の符号が変化し、1カ月、2カ月、または3カ月の累積で1標準偏差分(0.98)以上、下方に振れることが必要だ。次回の5月分でこの条件を満たすには、一致CIの前月差が▲0.1でも下降になることだ。試算してみると、過去の数字が不変として、前月差が▲0.1の下降の場合、3カ月後方移動平均の前月差は1カ月分で+0.10と3カ月ぶりの上昇になるものの、2カ月の累積で▲0.64、3カ月の累積で▲1.34となり、3カ月の累積で1標準偏差分(0.98)以上、下方に振れるからだ。しかし、生産指数の類似指標である、製造工業予測指数5月分の前月比は+0.5%の増加見込みであることなどから、一致CIの前月差は若干の上昇になる可能性の方が大きいことを期待する。

●今回4月分速報値では先行DIは66.7%と4カ月連続で景気判断の分岐点である50%を上回った。しかし、一致DIは30.0%で2カ月連続して景気判断の分岐点である50%を下回るという結果になってしまった。一致DIが2カ月連続して50%割れとなったのは、3月分では商業販売額指数・小売業と商業販売額指数・卸売業の2系列が前年同月比のため消費税引き上げ前の駆け込み需要の反動でマイナスになりやすかった面があったこと、4月分では採用されている割合が多い生産関連指標で1月分が高水準だった反動が出たことなど、一時的要因が大きいと考えられる。

●4月分景気動向指数・改定値では、一致系列が生産関連指標などの確報値が速報値と変わらないとすると、一致CI・改定値の前月差は+1.9程度と速報値の前月差+1.9と同程度になると予測する。また一致DIも速報値の30.0%と同じ30.0%程度になると予測する。

●4月分景気動向指数・改定値で、先行CIに新たに加わる実質機械受注の前月差寄与度は▲0.02程度の寄与になるとみる。在庫率関連データなどが速報値段階と確報値段階とで数字が変わらないと仮定すると、先行CI・改定値の前月差は+1.1程度の上昇と速報値の前月差+1.2の上昇からやや下方修正されると予測する。また、先行DIでは実質機械受注がプラス符号で加わり、70.0%程度と速報値の66.7%から上方修正になると予測する。

●5月分の先行CIの採用系列で、現時点で数値が判明しているのは、日経商品指数、長短金利差、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。この4系列全てが前月差プラス寄与になることが判明している。残りの5系列次第ではあるものの、5月分の先行CI前月差は3カ月連続で上昇する可能性が大きそうだ。

●また、5月分の先行DIでは、現時点で数値が判明している日経商品指数、長短金利差、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列は全てプラス符号になることが判明している。このため5月分先行DI速報値は、44.4%以上100.0%以下が確定している。これから発表される残りの5系列中プラス符号が1系列になれば、5カ月連続して景気判断の分岐点である50%を上回ることになろう。