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2015年6月調査日銀短観予測

2015年6月18日

●6月調査日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが+12と3月調査の+12と同程度の水準になると予測する。但し、9期連続で「良い」超のプラスになろう。製造工業生産予測指数で延長すると4~6月期の鉱工業生産指数は前期比▲0.2%が予測されることもあり、製造業は横這い圏にとどまるだろう。但し、3月調査での大企業・製造業の業況判断DI+12は、12月調査からの改善幅がゼロだったものの内訳の素材業種の改善幅が2ポイント、加工業種の改善幅が1ポイントだったことから、+12.3か+12.4の+12であることがわかっているので、低下する可能性は低いとみた。一方、大企業・非製造業の業況判断DIは雇用・賃金の改善などを背景に小売などを中心に大幅改善、3月調査の+19から上昇し+33程度になると予測する。16期連続で「良い」超のプラスになろう。昨年の消費税率引き上げ直前の14年3月調査+24が92年以降では最高水準であるので、もし予測通り+33になると91年11月調査の+33以来23年7カ月ぶりの水準に戻ることになる。景気動向指数の基調判断は2月に発表された12月分から6月発表の4月分まで景気が拡張局面にあることを示す「改善」が続いているが、日銀短観の大企業の業況判断DIは総じて判断すると、同様に緩やかな景気回復を示唆する内容になろう。

●大企業・製造業の業況判断DIが+12程度と予測通りなら、3月調査の先行き見通し+10を2ポイント上回ることになる。また大企業・非製造業が+33程度と予測通りなら、3月調査の先行き見通し+17を16ポイントも上回ることになる。どちらも改善幅に違いはあるものの、足元の景況感が事前の予想より良かったことを示唆する数字になろう。

●この予測は、日銀短観DIと連動性が高いことが知られている6月調査のロイター短観、6月調査のQUICK短観などを参考にした。

●6月18日に発表されたロイター短観6月調査の調査期間は6月2日から6月15日となっている。400社ベースの製造業の業況判断DIは3月調査の+16から2ポイント悪化の+14となった。一方、非製造業DIは3月調査の+21から15ポイント改善の+36となった。内訳をみると、小売は3月調査の▲9から43ポイント改善し、消費税率引き上げ直前だった14年3月調査の+38以来の高水準である+34となった。通信・情報サービスは3月調査の+46から17ポイント改善し+63となった。

●また、6月17日に発表されたQUICK短観3月調査の調査期間は6月1日から6月14日である。製造業の業況判断DIは3月調査の+18から1ポイント改善の+19となった。また、非製造業DIは3月調査の+20から19ポイントと大幅に改善し+39となった。

●ロイター短観の9月までの先行き見通しは、製造業の400社ベースで+19と6月実績の+14より5ポイント改善、非製造業の400社ベースの9月までの「先行き見通し」は+36と、6月実績+36と同じという予想である。QUICK短観の製造業の9月までの「先行き見通し」は+24で6月実績の+19より5ポイント改善の予想、非製造業の「先行き見通し」は+38で6月実績の+39に比べて1ポイント低下する予想である。

●日銀短観の大企業・業況判断DIの9月までの「先行き見通し」は、ロイター短観やQUICK短観などを参考にして、製造業で6月実績比5ポイント改善の+17程度、非製造業は6月実績比横ばいの+33程度と予測した。

●6月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が3月調査の+1から1ポイント悪化の0程度、非製造業が3月調査の+3から3ポイント改善の+6程度と予測した。なお、非製造業が予測通りなら、92年2月調査の+5を上回り、91年11月調査の+13以来の水準になる。直近5月分までの商工中金の景況調査、直近5月分までの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測した。

●6月調査日銀短観の中小企業・製造業の業況判断DIが0程度と予測通りなら、3月調査の「先行き見通し」0と同じ数字になり、製造業では足元の景況感が事前の予想通りだったことを示唆する数字になろう。また中小企業・非製造業が+6程度と予測どおりなら、3月調査の「先行き見通し」▲1を7ポイント上回る数字になり、非製造業では景況感が事前の予想より相当良かったという数字になるとみた。

●参考データの商工中金の中小企業月次景況観測の景気判断指数は直近5月分で、製造業が45.2(3月分49.6、4月分46.0、6月予測47.8)、非製造業は50.4(3月分50.0、4月分48.5、6月予測50.5)となっている。

●景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIの最近の推移は製造業が2月調査48.9、3月調査48.1、4月調査50.0、5月調査47.1で、非製造業は2月調査47.9、3月調査51.2、4月調査51.9、5月調査49.8となっている。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく参考データの現状水準判断DIの方を重視した。

●日銀短観の中小企業・業況判断DIの9月までの「先行き見通し」は、依然先行きに不透明さがあると感じている企業も多いとみて、製造業で6月実績比3ポイント改善の+3程度、非製造業は6月実績比3ポイント悪化の+3程度と予測した。

●2014年度の大企業・全産業の設備投資実績は6月調査では前年度比+5.4%程度と、3月調査の同+8.2%から鈍化すると予測した。これまでの3月調査(計画)から6月調査(実績)へかけての修正パターンなどを参考にした。

●2015年度計画は6月調査では前年度比+5.0%程度と3月調査の同▲1.2%から改善すると予測した。過去の修正パターンや、法人企業景気予測調査などを参考に予測した。

●2014年度の中小企業・全産業の設備投資実績は6月調査では前年度比▲3.5%程度と3月調査の同▲6.2%から上方修正されると予測した。

●2015年度計画は6月調査では前年度比▲13.3%程度と3月調査の同▲21.2%から改善すると予測した。中小企業の設備投資計画は例年3月調査が弱く、その後は調査の度に改善していく傾向があることなどを参考にした。