5月分全国消費者物価指数について

●５月分の全国消費者物価指数・総合指数は２０１０年を１００とした指数が、１０４．０となり、前月比は＋０．３％上昇した。総合指数の前年同月比は＋０．５％の上昇となった。４月分の＋０．６％から伸び率は鈍化したが、２４カ月連続の前年同月比上昇となった。２４カ月連続前年同月比がプラスなのは８７年６月から９４年６月まで８５カ月間連続で上昇していた時以来で、２０年１１カ月ぶりのことだ。

●生鮮食品の前年同月比は＋１１．０％の上昇だった。４月分は＋９．２％の上昇だったので、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は＋０．０８％のプラスになった。また、エネルギー全体の前年同月比は▲６．０％下落した。４月分は▲３．４％の下落だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲０．２５％の押下げ要因になった。総合指数の前年同月比では生鮮食品は上昇に寄与し、エネルギーは下落に寄与した格好だ。

●ガソリンの前年同月比は１２月分で▲２．５％の下落と１９カ月ぶりの下落となった後、４月分では▲１５．９％、今回の５月分では▲１５．２％になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は＋０．０２％だった。総合指数の前年同月比の上昇に寄与した。灯油の前年同月比は１２月分で▲３．４％の下落と２８カ月ぶりの下落となった後、４月分では▲２１．６％、５月分では▲２１．７％になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は０．００％だった。電気代の前年同月比は＋０．５％で、４月分の上昇率＋５．３％より伸び率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲０．１８％と押し下げ要因だった。都市ガス代の前年同月比は▲０．１％と、４月分の＋５．７％の上昇から下落に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲０．０６％だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は５月分では前年同月比▲１．７％と４月分の▲３．５％から下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は＋０．０２％だった。そのうちテレビは４月分の前年同月比▲３．４％から５月分は▲０．１％と下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は＋０．０２％だった。また、家庭用耐久財は全体で前年同月比▲１．１％で、４月分の前年同月比▲３．１％から下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は＋０．０２％だった。

●５月分の宿泊料は前年同月比＋３．４％で、４月分の前年同月比＋０．８％から伸び率が上昇した。ＧＷの曜日配列の影響もあったようだ。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は＋０．０３％だった。４月分は前年同月比▲４．８％の下落だった外国パック旅行は、５月分では同＋０．２％の上昇に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は＋０．０３％だった。

●全国消費者物価指数・総合指数・前年同月比に対する財とサービスの４月分から５月分への寄与度差をみると、財は▲０．１０％。一方、サービスの総合指数・前年同月比に対する寄与度差は▲０．０１％であった。

●５月分の生鮮食品を除く総合指数は２０１０年を１００とした指数は１０３．４で、前月比＋０．２％の上昇、前年同月比は＋０．１％の上昇となった。４月分の＋０．３％から０．２ポイントの鈍化となった。なお、前年同月比は２４カ月連続で上昇した。２４カ月連続でのプラスは９６年４月から９８年４月にかけて２５カ月連続で上昇して以来１７年１カ月ぶりのことである。

●なお、４月分では消費税引き上げの影響が＋０．３％残っていたので、生鮮食品を除く総合指数（消費税引き上げの影響除く）の前年同月比は０．０％だったが、消費税引き上げの影響がなくなった今回５月分では＋０．１％なので、事前の市場予想平均値の０．０％より実績値が上振れたかたちだ。

●５月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は１０１．１となり、前月比＋０．１％の上昇、また前年同月比は＋０．４％の上昇となった。４月分の＋０．４％と同じ伸び率だった。前年同月比は２０カ月連続上昇した。２０カ月連続前年同月比がプラスになったのは９８年８月まで長期にわたって連続で上昇していた時以来で、１６年９カ月ぶりである。

●総合指数の季節調整済み指数は５月分が１０３．８で前月比＋０．２％の上昇。生鮮食品を除く総合指数の季節調整済み指数は５月分が１０３．２で前月比０．０％だった。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の季節調整済み指数５月分は１００．９で前月比０．０％だった。

●ＥＳＰフォーキャスト調査・６月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の予測平均値は、１５年４～６月期＋０．０４％のあと７～９月期は▲０．００％と、ここまで伸び率は弱含むというのが平均的な見通しである。その後前年同期比の予測平均値は上昇に転じ、１０～１２月期は＋０．３９％、１６年１～３月期は＋０．８８％と上昇していく見込み。１５年度の上昇率は＋０．３３％。１６年度の上昇率は＋１．２１％だ。なお、原油価格（ＷＴＩ）の予測平均値は１５年５８．５２ドル／バレル、円相場の予測平均値は１５年度１ドル＝１２２円２０銭となっている。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ（ＧＤＰギャップ）は内閣府の試算で１５年１～３月期は▲１．６％と、１４年１０～１２月期の▲２．４％からマイナス幅が縮小した。１５年４～６月期の実質ＧＤＰ前期比年率は芳しい伸び率が見込めそうにないので需給ギャップは改善しない可能性もあるが、７～９月期以降は潜在成長率を上回る成長になると思われ、需給ギャップの改善が見込まれる。先行きの消費者物価指数の前年同月比の上昇要因になると思われる。

●６月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は、５月分の＋０．５％から鈍化し、＋０．３％程度の伸び率になると予測する。プラスの伸び率は維持し、８７年６月から９４年６月まで８５カ月間連続で上昇していた時以来、２１年ぶりの２５カ月連続の前年同月比プラスになろう。前月比は▲０．３％程度とみる。

●６月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は、５月分の＋０．１％から鈍化し、０．０％程度の伸び率になると予測する。なお、５月分で２４カ月連続前年同月比プラスという９６年４月から９８年４月にかけて２５カ月連続で上昇して以来１７年１カ月ぶりの連続プラス記録は途切れてしまう可能性がある。但し下落に転じることは回避されるだろう。前月比は▲０．１％程度になろう。

●また、６月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同月比は、５月分の＋０．４％から上昇し、＋０．５％程度の伸び率になると予測する。前年同月比は９８年８月までの連続上昇以来、１６年１０カ月ぶりの２１カ月連続プラスになりそうだ。前月比は０．０％程度になろう。

●関連データである６月分の東京都区部消費者物価指数では、総合の前年同月比は＋０．３％と５月分の＋０．５％から０．２ポイント鈍化したが、２４カ月連続の上昇になった。５月分で＋８．２％だった生鮮食品の前年同月比は＋６．０％に鈍化した。生鮮食品の総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲０．０９％になり前年同月比の押し下げ要因になった。エネルギー全体の前年同月比は▲５．１％となり５月分の▲２．７％から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲０．１６％になった。ガソリンは５月分では前年同月比▲１５．８％だったが６月分では同▲１３．２％と下落率が縮小し、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は＋０．０２％になった。一方、電気代の前年同月比は▲３．６％で５月分の同▲０．３％から下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲０．１２％だった。また、６月分ではテレビの前年同月比は▲３．７％、５月分同＋０．９％の上昇から下落に転じ、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲０．０２％になり前年同月比の押し下げ要因になった。６月分の宿泊料は前年同月比＋３．９％で、５月分の前年同月比＋３．４％から伸び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は＋０．０１％になった。６月分の消費者物価指数・総合の東京都区部（速報）の前月比は▲０．４％の減少だった。一方、大阪市の総合６月分前年同月比は＋０．６％と５月分の＋０．７％から０．１ポイント鈍化したが、２５カ月連続の上昇になった。６月分の前月比は▲０．２％だった。

●６月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部（速報）は＋０．１％で５月分の＋０．２％から鈍化したが、２６カ月連続の上昇になった。６月分の前月比は▲０．１％で５カ月ぶりの下落だった。大阪市の生鮮食品を除く総合の６月分前年同月比は＋０．３％で５月分の＋０．２％から上昇、２６カ月連続の上昇になった。６月分の前月比は０．０％だった。

●東京都区部（速報）の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の６月分前年同月比は＋０．２％で５月分の＋０．１％から上昇した。２カ月連続の上昇になった。６月分の前月比は０．０％だった。大阪市では６月分の前年同月比は＋０．６％と５月分の＋０．４％から上昇した。これで２１カ月連続の上昇になった。６月分の前月比は０．０％だった。