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2015年9月調査日銀短観予測

2015年9月16日

●9月調査日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが+13と6月調査の+15から2ポイント程度低下すると予測する。但し、10期連続で「良い」超のプラスになろう。人民銀による基準値の大幅な元安設定をきっかけとする、中国景気減速に対する不安は、資源需要の後退を受けた国際商品安とともに、企業家心理の悪化材料となっている。8月10日時点での製造工業生産予測指数で延長すると7~9月期の鉱工業生産指数は前期比+0.4%で、下振れが予測されることもあり、製造業の業況判断DIは6月調査に比べて弱含むとみた。

●一方、大企業・非製造業の業況判断DIは、建設などのDIが底堅いものの、雇用・賃金の改善の割には小売などのDIがもたつくとみられ、6月調査の+23から4ポイント程度低下し+19程度になると予測する。17期連続で「良い」超のプラスにはなろう。

●大企業・製造業の業況判断DIが+13程度と予測通りなら、6月調査の先行き見通し+16を3ポイント下回ることになる。また大企業・非製造業が+19程度と予測通りなら、6月調査の先行き見通し+21を2ポイント下回ることになる。どちらも足元の景況感が事前の予想より悪かったことを示唆する数字になろう。

●この予測は、日銀短観DIと連動性が高いことが知られている9月調査のロイター短観、9月調査のQUICK短観などを参考にした。

●9月16日に発表されたロイター短観9月調査の調査期間は8月31日から9月11日となっている。400社ベースの製造業の業況判断DIは6月調査の+14から5ポイント悪化の+9となった。一方、非製造業DIは6月調査の+36から13ポイント悪化の+23となった。内訳をみると、不動産・建設は+39と6月調査と同水準であった。小売は+13で2ケタのプラスではあるものの6月調査の+34から21ポイント悪化した。通信・情報サービスは6月調査の+63から16ポイント悪化し+47となった。

●また、同日に発表されたQUICK短観6月調査の調査期間は9月1日から9月13日である。製造業の業況判断DIは6月調査の+19から2ポイント改善の+21となった。また、非製造業DIは6月調査の+39から3ポイント悪化し+36となった。

●ロイター短観の12月までの先行き見通しは、製造業の400社ベースで+7と9月実績の+9より2ポイント悪化、非製造業の400社ベースの12月までの「先行き見通し」は+22と、9月実績+23より1ポイント悪化という予想である。QUICK短観の製造業の12月までの「先行き見通し」は+15で9月実績の+21より6ポイント悪化の予想、非製造業の「先行き見通し」は+33で9月実績の+36に比べて3ポイント低下する予想である。中国経済失速の影響の程度が不透明なため、先行きの景況感は悪化見込みである。

●日銀短観の大企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、ロイター短観やQUICK短観などを参考にして、製造業で9月実績比5ポイント悪化の+8程度、非製造業は9月実績比1ポイント悪化の+18程度と予測した。

●9月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が6月調査の0から2ポイント悪化の▲2程度、非製造業が6月調査の+4から3ポイント悪化の+1程度と予測した。直近8月分までの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIや、7~9月期の法人企業景気予測調査などを参考にして予測した。

●9月調査日銀短観の中小企業・製造業の業況判断DIが▲2程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」0を2ポイント下回り、製造業では足元の景況感が事前の予想通りより悪かったことを示唆する数字になろう。また中小企業・非製造業が+1程度と予測どおりなら、6月調査の「先行き見通し」+1と同じになり、非製造業では景況感が事前の予想通りに悪化したということになるとみた。

●景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIの最近の推移は製造業が5月調査47.1、6月調査47.3、7月調査49.9、8月調査46.4で、非製造業は5月調査49.8、6月調査50.6、7月調査52.3、8月調査48.9となっている。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく参考データの現状水準判断DIの方を重視した。

●日銀短観の中小企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、依然先行きの景気に不安を感じている企業が多いとみて、製造業で9月実績比4ポイント悪化の▲6程度、非製造業は9月実績比2ポイント悪化の▲1程度と予測した。

●2015年度の大企業・全産業の設備投資実績は9月調査では前年度比+6.7%程度と、6月調査の同+9.3%から鈍化すると予測した。過去の修正パターンや、法人企業景気予測調査などを参考に予測した。

●2015年度の中小企業・全産業の設備投資実績は9月調査では前年度比▲8.5%程度と6月調査の同▲15.7%から上方修正されると予測した。中小企業の設備投資計画は例年3月調査が弱く、その後は調査の度に改善していく傾向があることなどを参考にした。