ホームマーケット経済指標解説10月分全国消費者物価指数について

10月分全国消費者物価指数について

2015年11月27日

―コア指数前年同月比は▲0.1%、3カ月連続の下落―
―コアコア指数前年同月比は+0.7%、17年2カ月ぶりの25カ月連続上昇―

●10月分の全国消費者物価指数・総合指数は2010年を100とした指数が、103.9となり、前月比は▲0.1%下落した。総合指数の前年同月比は+0.3%となった。

●生鮮食品の前年同月比は+9.6%の上昇だった。9月分の+3.6%の上昇から伸び率が高まったので、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.23%となった。また、エネルギー全体の前年同月比は▲11.8%下落した。9月分は▲12.1%の下落だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%と僅かだが前年同月比の押上げ要因に転じた。

●ガソリンの前年同月比は昨年12月分で▲2.5%の下落と19カ月ぶりの下落となった後、前回の9月分では▲19.5%に、今回の10月分では▲19.2%になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。総合指数の前年同月比の下落に寄与した。灯油の前年同月比は昨年12月分で▲3.4%の下落と28カ月ぶりの下落となった後、9月分では▲25.1%、10月分では▲27.4%になった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。電気代の前年同月比は▲5.7%で、9月分の▲6.5%から下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.03%と押上げ要因だった。都市ガス代の前年同月比は▲12.8%と、9月分の▲12.4%からやや下落率が拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.00%だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は10月分では前年同月比+13.3%と9月分の+11.1%から上昇率が拡大した。脱デフレの動きが着実に進んでいる品目だろう。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%だった。そのうちテレビは9月分の前年同月比+18.2%から10月分は+20.4%となった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%だった。また、家庭用耐久財は全体で前年同月比+3.7%で、9月分の前年同月比+3.5%から上昇率がやや拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.00%だった。

●10月分の宿泊料は前年同月比+2.4%で、9月分の前年同月比+3.4%から上昇率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%だった。9月分は前年同月比+1.2%と上昇だった外国パック旅行は、10月分では同▲1.6%と下降に転じた。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.02%だった。

●全国消費者物価指数・総合指数・前年同月比に対する財とサービスの9月分から10月分への寄与度差をみると、財は+0.28%。サービスの総合指数・前年同月比に対する寄与度差は▲0.08%であった。

●10月分の生鮮食品を除く総合指数は2010年を100とした指数は103.5で、前月比+0.1%の上昇だった。前年同月比は▲0.1%になった。前年同月比は8月分で28カ月ぶりにマイナスに転じ、9・10月分と3カ月連続で低下となった。

●10月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は101.7となり、前月比+0.1%の上昇、また前年同月比は+0.7%の上昇となった。9月分の+0.9%から伸び率が鈍化した。前年同月比は25カ月連続上昇した。25カ月連続前年同月比がプラスになったのは98年8月まで長期にわたって連続で上昇していた時以来で、17年2カ月ぶりである。

●総合指数の季節調整済み指数は10月分が103.7で前月比+0.1%の上昇。生鮮食品を除く総合指数の季節調整済み指数は10月分が103.2でこちらは前月比横這い。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の季節調整済み指数10月分は101.4で前月比▲0.1%の下落になった。1月分以来9カ月ぶりの下落となった。

●ESPフォーキャスト調査・11月調査によると、全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比の予測平均値は、15年7~9月期▲0.1%まで伸び率が弱まった後、前年同期比の予測平均値は上昇に転じ、10~12月期は+0.05%、16年1~3月期は+0.48%と上昇していく見込み。15年度の上昇率は+0.13%。16年度の上昇率は+0.94%だ。なお、原油価格(WTI)の予測平均値は15年50.48ドル/バレル、円相場の予測平均値は15年度1ドル=121円74銭となっている。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算で15年4~6月期は▲1.6%と、15年1~3月期の▲1.2%からマイナス幅がやや拡大した。15年7~9月期では需給ギャップが悪化するとみられるが、10~12月期以降は潜在成長率を上回る成長になる可能性があり、需給ギャップの改善が見込まれる。先行きの消費者物価指数の前年同月比の上昇要因になると思われる。

11月分の暫定的予測

●11月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は、10月分の+0.3%と同程度の、+0.3%程度になると予測する。2カ月連続前年同月比がプラスになろう。前月比は▲0.4%程度とみる。

●11月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+0.2%程度と、5カ月ぶりにプラスの伸び率になると予測する。前月比は+0.1%程度になろう。

●また、11月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+0.9%程度と10月分の同+0.7%から伸び率が高まると予測する。前年同月比は98年8月までの連続上昇以来、17年3カ月ぶりの26カ月連続プラスになりそうだ。前月比は0.0%程度になろう。

●関連データである11月分の東京都区部消費者物価指数(速報)では、総合の前年同月比は+0.2%と10月分の+0.1%に続き2カ月連続上昇した。10月分で+8.9%だった生鮮食品の前年同月比は+4.7%へと鈍化した。生鮮食品の総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.16%になり前年同月比の下落要因になった。エネルギー全体の前年同月比は▲12.4%で10月分の下落率の同▲13.1%からマイナス幅が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.05%の上昇要因になった。一方、11月分ではテレビの前年同月比は+27.2%で10月分同+21.0%から上昇率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%になり前年同月比の押上げ要因になった。11月分の宿泊料は前年同月比+4.1%で、10月分の前年同月比+2.4%から伸び率が高まった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%になった。11月分の消費者物価指数・総合の東京都区部(速報)の前月比は▲0.4%の下落だった。一方、大阪市の総合11月分前年同月比は+0.7%と10月分の同+0.8%から伸び率がやや鈍化したが、30カ月連続の上昇になった。11月分の前月比は▲0.4%の下落だった。

●11月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は0.0%で10月分の同▲0.2%の下落から上昇し、5カ月ぶりに下落から抜け出した。11月分の前月比は0.0%だった。大阪市の生鮮食品を除く総合の11月分前年同月比は+0.4%で10月分の+0.3%から伸び率が上昇し、31カ月連続の上昇になった。11月分の前月比は0.0%だった。

●東京都区部(速報)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の11月分前年同月比は+0.6%で10月分の+0.4%から上昇率が高まり、7カ月連続の上昇になった。11月分の前月比は0.0%だった。大阪市では11月分の前年同月比は+0.6%と10月分の同+0.7%から伸び率が鈍化した。但し、これで26カ月連続の上昇である。11月分の前月比は▲0.1%だった。