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10月分景気動向指数(速報値)

2015年12月7日

-先行CI前月差+1.3、一致CI前月差+2.0、どちらも上昇-
-10月分も「足踏みを示している」で基調判断継続、11月分でも同様か-

●10月分景気動向指数・速報値では、先行CIは前月差+1.3と4カ月ぶりの上昇となった。10月分の先行CIの指数水準は102.9となった。

●一致CIは前月差+2.0と2カ月連続の上昇になった。10月分の一致CIの指数水準は114.3である。東日本大震災発生時のボトムで直近のボトムである11年4月分の96.7よりは17.6ポイント高い水準だが、直近のピークである14年3月分の116.2よりは1.9ポイント低い水準だ。

●一致CIの3カ月後方移動平均の前月差は+0.40と2カ月ぶりの上昇、7カ月後方移動平均の前月差は+0.46と3カ月ぶりの上昇になった。

●先行CI・一致CIとも前月差上昇と明るい内容になった。但し、一致CIを使った景気の基調判断は、今回10月分では、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」と、6カ月連続で同じ判断となった。

●最近の一致CIを使った景気の基調判断をみると、14年12月分で、「改善を示している。ただし、基調判断に用いている3カ月後方移動平均のこのところの変化幅は、大きいものではない」に「下方への局面変化」から上方修正された。「下方への局面変化」から「改善を示している」に戻るのは異例のパスということだった。15年1月分で、但し書きは消えて、「改善を示している」という判断継続になった。15年2月分~4月分でも、「改善を示している」という判断継続になったが、5月分で景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」に下方修正され、6~10月分でも判断据え置きとなった。

●次回11月分も、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」の判断が継続となろう。基調判断が景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に戻るには、「当月の前月差の符号がプラス。かつ原則として3カ月以上連続して3カ月後方移動平均が上昇する」ことが必要だ。9月分で上昇の連続記録は途切れてしまったため、10月分から再スタートとなる。

●3カ月後方移動平均が11月分で前月より上昇する条件は過去の数字が変わらないなら前月差▲2.0以上だ。11月分の生産指数関連指標の製造工業生産予測指数が前月比+0.2%増加であることなどから、11月分の一致CI3カ月後方移動平均前月差上昇はまちがいないだろう。11月分の前月差▲2.0、12月分の前月差+0.1で、「3カ月後方移動平均前月差が3カ月連続上昇、かつ当月(12月)の前月差プラス」の「改善」の条件を満たせる。いち早く「改善」に戻るケースは10月分以降の3カ月分の3カ月後方移動平均が連続上昇し、2月5日に発表される12月分が前月差上昇の場合だ。指数の水準的には十分条件を満たすが、12月分の製造工業生産予測指数が前月比▲0.9%の減少であることから、12月分一致CI前月差が+0.1でも上昇するかどうかは、今後の状況を、予断を持つことなく見なければならないだろう。

●次回11月分で「下方への局面変化」に悪化するには、「当月の前月差の符号がマイナス。かつ7カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月、または3カ月の累積)が1標準偏差分(0.85)以上」であることが必要だ。11月分の一致CI前月差が▲6.5ポイント程度の大幅下降になると、11月分の7カ月後方移動平均が▲0.86になり、1標準偏差分(0.85)以上下方に振れることになるが、その可能性はゼロだろう。

●今回10月分速報値では先行DIは44.4%と4カ月連続して景気判断の分岐点である50%を下回った。また、一致DIは68.8%とこちらは4カ月ぶりに景気判断の分岐点である50%を上回った。

●10月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。所定外労働時間指数が速報値と同じ前月比+0.1%なら前月差プラス寄与になるが、速報値段階と各系列が不変とすると、全体の一致CI前月差は+1.9程度と速報値の+2.0よりはやや低くなるとみられる。一致DIでは所定外労働時間指数が速報値と同じ前月比+0.1%なら3カ月前より指数水準が高くなるため、プラス符号で加わる可能性が大きく、他の指標の符号が不変なら、72.2%程度と速報値の68.8%から上方修正になり、景気判断の分岐点50%を引き続き上回ると予測する。

●先行CI改定値で新たに加わる実質機械受注(製造業)の前月差寄与度は+0.08程度のプラス寄与になると予測する。指標発表日は12月9日である。在庫率関連データなどが確報値段階でどうリバイスされるかにもよるが、先行CI・改定値の前月差は+1.4の上昇と速報値の+1.3から僅かに上方修正になるとみた。また、先行DIでは実質機械受注(製造業)がマイナス符号で加わり、40.0%程度と速報値の44.4%から下方修正になると予測する。

●11月分の先行CIの採用系列で、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。このうち消費者態度指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの3系列が前月差プラス寄与に、日経商品指数1系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。

●また、11月分の先行DIでは、現時点で数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列のうち、中小企業売上げ見通しDI1系列がプラス符号に、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の3系列がマイナス符号になることが判明している。このため11月分先行DI速報値は、11.1%以上66.7%以下が確定している。