ホームマーケット経済指標解説12月分全国消費者物価指数について

12月分全国消費者物価指数について

2016年1月29日

―コア指数前年同月比は+0.1%、2カ月連続上昇―
―コアコア指数前年同月比は+0.8%、17年4カ月ぶりの27カ月連続上昇―

●12月分の全国消費者物価指数・総合指数は2010年を100とした指数が、103.5となり、前月比は▲0.1%下落した。総合指数の前年同月比は+0.2%となった。前年同月比は3カ月連続上昇した。

●生鮮食品の前年同月比は+2.6%の上昇だった。11月分の+6.3%の上昇から伸び率が鈍化したので、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.14%となった。また、エネルギー全体の前年同月比は▲11.0%下落した。11月分は▲11.1%の下落だった。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.02%と前年同月比の若干の押上げ要因になった。

●ガソリンの前年同月比は14年12月分で▲2.5%の下落と19カ月ぶりの下落となった後、前回の11月分では▲17.5%、今回の12月分では▲17.8%になった。マイナス幅は拡大したが、寄与度計算式上の端数処理ルールの影響で、総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%とプラス寄与になった。灯油の前年同月比は14年12月分で▲3.4%の下落と28カ月ぶりの下落となった後、11月分では▲27.4%、12月分でも▲27.0%だった。前年同月比に対する寄与度差が+0.01%と押上げ要因になった。電気代の前年同月比は▲5.7%で、11月分の▲5.6%から下落率が僅かに拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。都市ガス代の前年同月比は▲11.7%と、11月分の▲12.1%から下落率が縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽用耐久財は12月分では前年同月比+14.7%と11月分の+14.0%から上昇率が拡大した。脱デフレの動きが着実に進んでいる品目だろう。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。そのうちテレビは11月分の前年同月比+22.3%から12月分は+22.4%と僅かに上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。また、家庭用耐久財は全体で前年同月比+4.7%で、11月分の前年同月比+4.8%から上昇率が僅かに縮小した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。

●12月分の宿泊料は前年同月比+1.0%で、11月分の前年同月比+4.1%から上昇率が鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.03%だった。11月分は前年同月比+6.2%の上昇だった外国パック旅行は、12月分では同+6.0%とやや鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は0.00%だった。

●全国消費者物価指数・総合指数・前年同月比に対する財とサービスの11月分から12月分への寄与度差をみると、財は▲0.11%。サービスの総合指数・前年同月比に対する寄与度差は▲0.04%であった。

●12月分の生鮮食品を除く総合指数は2010年を100とした指数は103.3で、前月比▲0.2%の下落。前年同月比は+0.1%の上昇になった。前年同月比は2カ月連続上昇した。

●12月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は101.6で、前月比▲0.1%の下落。前年同月比は+0.8%の上昇となった。11月分の+0.9%から伸び率が鈍化した。前年同月比は27カ月連続上昇した。27カ月連続前年同月比がプラスになったのは98年8月まで長期にわたって連続で上昇していた時以来で、17年4カ月ぶりである。

●総合指数の季節調整済み指数は12月分が103.6で前月比横ばい。生鮮食品を除く総合指数の季節調整済み指数は12月分が103.4でこちらは前月比+0.1%の上昇。食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の季節調整済み指数12月分は101.5で前月比横ばいになった。

●ESPフォーキャスト調査・1月調査によると、15年7~9月期に▲0.1%まで伸び率が弱まった全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同期比は、その後の各四半期の予測平均値をみると、16年1~3月期は+0.37%、4~6月期は+0.42%、7~9月期は+0.73%、10~12月期は+0.99%と緩やかに上昇していく見込みだ。15年度の上昇率は+0.11%。16年度の上昇率は+0.82%だ。なお、原油価格(WTI)の予測平均値は15暦年48.70ドル/バレル、16暦年48.03ドル/バレル、円相場の予測平均値は15年度1ドル=121円75銭、16年度1ドル=122円95銭となっている。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算で15年7~9月期は▲1.3%と、15年4~6月期の▲1.4%からマイナス幅がやや縮小した。10~12月期の実質GDPは潜在成長率を下回る成長になる可能性があり、需給ギャップの改善の先送りが見込まれる。足元の消費者物価指数の前年同月比の上昇抑制要因と思われる。

日銀:消費者物価の基調的な変動

●総務省の発表を受け、日銀が発表した「消費者物価の基調的な変動」によると、12月分の総合(除く生鮮食品・エネルギー)の前年同月比は+1.3%と10月分・11月分の同+1.2%から上昇した。

1月分の暫定的予測

●1月分の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は、12月分の+0.2%から鈍化し、0.0%程度になると予測する。前月比は▲0.4%程度とみる。

●1月分の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は0.0%程度と、12月分の同+0.1%から鈍化すると予測する。前月比は▲0.7%程度になろう。

●また、1月分の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+0.6%程度と12月分の同+0.8%から鈍化すると予測する。但し、前年同月比は98年8月までの連続上昇以来、17年5カ月ぶりの28カ月連続プラスになりそうだ。前月比は▲0.8%程度になろう。

●関連データである1月分の東京都区部消費者物価指数(速報)では、総合の前年同月比は▲0.3%と12月分の+0.1%の上昇から下落に転じた。12月分で▲0.3%だった生鮮食品の前年同月比は▲4.4%の大幅な下落になった。生鮮食品の総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.17%になり前年同月比の下落要因になった。エネルギー全体の前年同月比は▲12.3%で12月分の下落率の同▲12.1%からマイナス幅がやや拡大した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.01%の僅かな下落要因になった。一方、1月分ではテレビの前年同月比は+13.9%で12月分同+30.4%から上昇率が大きく鈍化した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は▲0.06%だった。1月分の宿泊料は前年同月比+1.8%で、12月分の前年同月比+1.0%から伸び率が上昇した。総合指数の前年同月比に対する寄与度差は+0.01%になった。1月分の消費者物価指数・総合の東京都区部(速報)の前月比は▲0.6%だった。一方、大阪市の総合1月分前年同月比は+0.6%と12月分の同+0.8%から伸び率は鈍化したものの、32カ月連続の上昇になった。1月分の前月比は▲0.2%の下落だった。

●1月分の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は▲0.1%で12月分の同+0.1%の上昇から下落に転じた。3カ月ぶりの下落だ。1月分の前月比は▲0.8%だった。大阪市の生鮮食品を除く総合の1月分前年同月比は+0.5%で12月分の+0.7%から伸び率が鈍化したものの、33カ月連続の上昇になった。1月分の前月比は▲0.6%だった。

●東京都区部(速報)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の1月分前年同月比は+0.4%で12月分の同+0.6%から鈍化したが、9カ月連続の上昇になった。1月分の前月比は▲1.0%だった。被服及び履物が前月比▲7.5%と季節的に下落したことが主因だ。また、大阪市では1月分の前年同月比は+0.7%と12月分の同+0.9%から伸び率が鈍化したが、28カ月連続の上昇となった。1月分の前月比は▲0.7%だった。