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15年10~12月期法人企業統計・設備投資などについて

2016年3月1日

◎ 10~12月期設備投資(除くソフトウェア)前期比▲0.0%、前年同期比+8.5%。
◎ 10~12月期実質GDP第2次速報値、総合的判断ではやや下方修正か。

●15年10~12月期の法人企業統計調査(速報値)の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+8.9%と7~9月期の前年同期比+11.2%からは2.3ポイント低下したものの、11四半期連続の増加となった。なお、これに断層補正をおこなうと7~9月期からの前年同期⽐の低下幅はやや拡⼤しそうだ。また、ソフトウェア投資額を含むベースでは10~12月期の全産業の前年同期⽐は+8.5%だった。7~9月期の前年同期⽐+11.2%からは2.7ポイント低下した。資本金1000万円以上1億円未満の中⼩企業の前年同期比+17.8%で、7~9月期の前年同期⽐+21.8%からは4.0ポイント低下した。資本金1億円以上10億円未満の前年同期⽐は+11.1%で、7~9月期の前年同期比+4.8%からは6.3ポイント上昇した。資本金10億円以上の前年同期比は+3.5%と、7~9月期の前年同期比+8.1%からは4.6ポイントの低下となった。

●供給サイドのデータに基づいて算出した、15年10~12月期GDP第1次速報値では名⽬設備投資の前年同期⽐は+4.0%で、7~9月期の+3.3%から伸び率を高めている。名⽬の前期比(季節調整済み)は+1.2%と2四半期連続の増加になった。10~12月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、名⽬設備投資の供給側推計値の名⽬原系列前期⽐は▲8.7%の減少で、需要側推計値(仮置き値)の名⽬原系列前期比は▲0.9%の減少である。

●法⼈企業統計15年10~12月期の設備投資・季節調整済み前期⽐(ソフトウェア投資額を除くベース)は▲0.0%で7~9月期の同+5.7%から5.7ポイント鈍化した。10~12月期の原数値の前期⽐(ソフトウェア投資額を除くベース)は+0.7%の増加であり、需要側推計値(仮置き値)の▲0.9%の減少よりも1.6ポイント程度上⽅修正の可能性がある。但し、これに断層補正の影響などを考慮すると1ポイント程度控えめに見る必要があろう。加えて、個⼈企業経済調査のデータは下方修正要因になりそうだ。⼀⽅、12月確報分が反映されるソフトウェア開発・プログラム作成は上方修正要因になりそうだ。総合的に判断して、第2次速報値での実質ベースの設備投資の前期比は第1次速報値の+1.4%から+1.5%程度へと若干上方修正になると予測する。

在庫投資

●法⼈企業統計の仕掛品在庫をみると15年10~12月期は3兆2091億円で14年10~12月期の3兆6464億円から▲4373億円の減少となった。原材料在庫は15年10~12月期は▲1270億円で14年10~12月期の▲4244億円から2973億円の増加となった。合わせて▲1400億円、前年同期に比べ減少した。一方、15年10~12月期GDP第1次速報値の名⽬在庫投資・原数値は1兆2473億円で14年10~12月期の7621億円より+4852億円の増加であった。15年10~12月期GDP第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期⽐寄与度は+0.4%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、原材料在庫だけが前年同期比小幅マイナス寄与だった模様だ。残りは全てプラス寄与で、流通在庫のプラス寄与度が一番大きかった模様だ。プラス寄与度が2番目に大きいのが仕掛品在庫だったようだ。製品在庫の前年同期比寄与度はゼロに近いプラスだった模様だ。今回の法人企業統計からみると、仕掛品在庫・原材料在庫は若干下方修正要因になると思われる。

●15年10~12月期GDP第1次速報値段階で民間在庫投資の実質・前期比寄与度は▲0.1%だった。⺠間在庫投資の内訳をみると、製品在庫が前期比寄与度▲0.0%、仮置き値の原材料在庫は前期⽐寄与度▲0.2%、同じく仮置き値の仕掛品在庫は0.0%、残る流通在庫は前期比寄与度0.0%だった。第2次速報値段階で仕掛品在庫は下⽅修正、原材料在庫はやや上⽅修正で、実質在庫投資はやや下方修正され、前期比寄与度は▲0.2%程度になるとみた。

15年10~12月期GDP・第2次速報値

●15年10~12月期GDP第2次速報値では、設備投資は前期比+1.5%程度と第1次速報値の同+1.4%から若干上方修正になるとみた。また、法人企業統計により在庫投資・前期比寄与度は第1次速報値の▲0.1%から下方修正され、▲0.2%程度になるとみた。また、公共工事出来高の前年同月比は10月分▲1.5%、11月分▲5.1%だったが、12月分の伸び率は▲7.8%だった。このことからみて第2次速報値での公共投資の前期⽐は第1次速報値の▲2.7%から▲3.2%程度へ下⽅修正されるとみた。

●総合的に判断すると15年10~12月期実質GDP第2次速報値は前期比▲0.4%程度、前期⽐年率▲1.7%程度へと、第1次速報値の前期比▲0.4%、前期比年率▲1.4%から下方修正されると予測する。