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2016年2月分全国消費者物価指数について

2016年3月25日

-コア指数前年同⽉⽐は0.0%と横ばい。横ばいは2カ⽉連続-
-コアコア指数前年同⽉⽐は+0.8%、17年6カ⽉ぶりの29カ⽉連続上昇-
-⽇銀算出の「除く⽣鮮⾷品・エネルギー」前年同⽉⽐は+1.1%で、前⽉と同じ-

●2⽉分の全国消費者物価指数・総合指数は2010年を100とした指数が、103.2となり、前⽉⽐は+0.1%上昇した。また、前年同⽉⽐は+0.3%上昇した。前年同⽉⽐は2カ⽉ぶりの上昇だ。

●⽣鮮⾷品の前年同⽉⽐は+5.8%と上昇した。1⽉分は0.0%にとどまっていたので、総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は+0.25%となった。⽣鮮果物が前年同⽉⽐+13.4%と2ケタ上昇した。そのうち、みかんが前年同⽉⽐+23.6%上昇した。⼀⽅、エネルギー全体の前年同⽉⽐は▲10.9%下落した。1⽉分の▲10.7%下落からマイナス幅が⼩幅拡⼤した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.01%と前年同⽉⽐の若⼲の押下げ要因になった。

●エネルギー分野の中⾝は押上げ要因、押下げ要因とまちまちだった。ガソリンの前年同⽉⽐は14年12⽉分で▲2.5%の下落と19カ⽉ぶりの下落となった後、前回の16年1⽉分では▲16.7%、今回の2⽉分では▲15.8%になった。2⽉分の前⽉⽐は▲4.1%の下落だが15年2⽉の前⽉⽐の下落幅が⼤きかったため、前年同⽉⽐のマイナス幅は縮⼩し、総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は+0.04%とプラス寄与になった。灯油の前年同⽉⽐は14年12⽉分で▲3.4%の下落と28カ⽉ぶりの下落となった後、16年1⽉分では▲26.3%、今回の16年2⽉分では▲25.4%になった。前年同⽉⽐に対する寄与度差は+0.02%と押上げ要因になった。⼀⽅、電気代の前年同⽉⽐は▲7.6%で、1⽉分の▲6.4%から下落率が拡⼤した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.05%だった。都市ガス代の前年同⽉⽐は▲13.1%と、1⽉分の▲11.6%から下落率が拡⼤した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.02%だった。

●テレビやパソコン、エアコンといった教養娯楽⽤耐久財は2⽉分では前年同⽉⽐+10.9%と1⽉分の+11.7%から上昇率が縮⼩した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.01%だった。そのうちテレビは1⽉分の前年同⽉⽐+15.8%から2⽉分は+15.7%と僅かに鈍化した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は0.00%だった。また、家庭⽤耐久財は全体で前年同⽉⽐+0.1%で、1⽉分の前年同⽉⽐+ 1 . 0 % から上昇率が縮⼩した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.01%だった。着実に進んできた脱デフレの動きが⼀服した感がある。

●2⽉分の宿泊料は前年同⽉⽐+2.9%で、1⽉分の前年同⽉⽐+1.8%から上昇率が⾼まった。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は+0.01%だった。1⽉分は前年同⽉⽐+3.2%の上昇だった外国パック旅⾏は、2⽉分では同+9.5%と上昇率が⾼まった。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は+0.04%だった。

●全国消費者物価指数・総合指数・前年同⽉⽐に対する財とサービスの1⽉分から2⽉分への寄与度差をみると、財は+0.25%。サービスの総合指数・前年同⽉⽐に対する寄与度差は+0.06%であった。

●2⽉分の⽣鮮⾷品を除く総合指数は2010年を100とした指数は102.5で、前⽉⽐0.0%。前年同⽉⽐も0.0%と、どちらも横這いになった。前年同⽉⽐横ばいは2カ⽉連続だ。

●2⽉分の⾷料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は101.1で、前⽉⽐+0.2%の上昇。前年同⽉⽐は+0.8%の上昇となった。1⽉分の+0.7%から伸び率が若⼲上昇した。前年同⽉⽐は29カ⽉連続上昇した。29カ⽉連続前年同⽉⽐がプラスになったのは98年8⽉まで⻑期にわたって連続で上昇していた時以来で、17年6カ⽉ぶりである。

●2⽉分の総合指数の季節調整済み指数は103.6で前⽉⽐+0.3%の上昇。⽣鮮⾷品を除く総合指数の季節調整済み指数は103.0でこちらは前⽉⽐▲0.1%の下落。⾷料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の季節調整済み指数は101.6で前⽉⽐+0.2%の上昇である。

●ESPフォーキャスト調査・3⽉調査によると、全国消費者物価指数・⽣鮮⾷品を除く総合の前年同期⽐は、16年4〜6⽉期は▲0.11%と下落したあと、7〜9⽉期は+0.07%、10〜12⽉期は+0.33%、17年1〜3⽉期は+0.73%、と緩やかに上昇していく⾒込みだ。15年度の上昇率は+0.01%。16年度の上昇率は+0.26%、17年度(消費増税の影響を除くベース)の上昇率は+0.96%だ。なお、原油価格(WTI)の予測平均値は16暦年36.38ドル/バレル、17暦年43.27ドル/バレル。円相場の予測平均値は15年度1ドル=119円96銭、16年度1ドル=115円45銭、17年度1ドル=117円19銭となっている。

●物価上昇率を決める主因の需給ギャップ(GDPギャップ)は内閣府の試算で15年10〜12⽉期は▲1.6%と、15年7〜9⽉期の▲1.2%からマイナス幅が拡⼤した。需給ギャップの改善のもたつきは、⾜元の消費者物価指数の前年同⽉⽐の上昇抑制要因になると思われる。

(⽇銀:消費者物価の基調的な変動)
●総務省の発表を受け、⽇銀が発表した「消費者物価の基調的な変動」によると、2⽉分の総合(除く⽣鮮⾷品・エネルギー)の前年同⽉⽐は+1.1%で、1⽉分と同じ伸び率になった。

(3⽉分の暫定的予測)
●3⽉分の全国消費者物価指数・総合の前年同⽉⽐は、2⽉分の+0.3%から伸び率が鈍化し、+0.1%程度になると予測する。前⽉⽐は+0.2%程度とみる。

●3⽉分の全国消費者物価指数・⽣鮮⾷品を除く総合の前年同⽉⽐は、2⽉分の0.0%から5カ⽉ぶりの下落に転じ▲0.2%程度になると予測する。前⽉⽐は+0.3%程度とみる。

●また、3⽉分の⾷料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の前年同⽉⽐は+0.8%程度と2⽉分と同程度の伸び率になると予測する。前年同⽉⽐は98年8⽉までの連続上昇以来、17年7カ⽉ぶりの30カ⽉連続プラスになりそうだ。前⽉⽐は+0.4%程度になろう。

●関連データである3⽉分の東京都区部消費者物価指数(速報)では、総合の前年同⽉⽐は▲0.1%と2⽉分の+0.1%の上昇から下落に転じた。2⽉分で+3.5%だった⽣鮮⾷品の前年同⽉⽐は+3.8%の上昇になった。⽣鮮⾷品の総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は+0.01%になり前年同⽉⽐の僅かな上昇要因になった。エネルギー全体の前年同⽉⽐は▲16.0%で2⽉分の下落率の同▲13.5%からマイナス幅が拡⼤した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.17%の下落要因になった。⼀⽅、3⽉分ではテレビの前年同⽉⽐は+11.9%で2⽉分同+13.4%から上昇率が鈍化した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.01%だった。3⽉分の宿泊料は前年同⽉⽐+0.2%で、2⽉分の前年同⽉⽐+2.9%から伸び率が鈍化した。総合指数の前年同⽉⽐に対する寄与度差は▲0.04%になった。3⽉分の消費者物価指数・総合の東京都区部(速報)の前⽉⽐は+0.3%だった。また、⼤阪市の総合3⽉分前年同⽉⽐は+0.5%と2⽉分の同+0.9%から伸び率が鈍化したものの、34カ⽉連続の上昇になった。3⽉分の前⽉⽐は0.0%だった。

●3⽉分の⽣鮮⾷品を除く総合の前年同⽉⽐は、東京都区部(速報)は▲0.3%で2⽉分の▲0.1%からマイナス幅が拡⼤した。3カ⽉連続の下落だ。3⽉分の前⽉⽐は+0.3%だった。⼤阪市の⽣鮮⾷品を除く総合の3⽉分前年同⽉⽐は+0.3%で1⽉分の+0.6%から伸び率が鈍化したものの、35カ⽉連続の上昇になった。3⽉分の前⽉⽐は+0.1%だった。

●東京都区部(速報)の⾷料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合の3⽉分前年同⽉⽐は+0.6%で2⽉分の+0.5%から僅かに伸び率が上昇した。これで11カ⽉連続の上昇になった。3⽉分の前⽉⽐は+0.5%だった。また、⼤阪市では3⽉分前年同⽉⽐は+0.8%で2⽉分の+0.9%から僅かに伸び率が鈍化したが、30カ⽉連続の上昇となった。3⽉分の前⽉⽐は+0.3%だった。